「トラクターで事故が起きても、自動車保険が入っているから大丈夫」と思っていませんか?
shoei実は、田んぼや畑(圃場)の中での作業中事故は、自動車保険の補償対象外となるのが原則です。
私もこの事実を初めて知ったときは「マジか…」と冷や汗が出ました。万が一のとき、すべて自己負担になるリスクがあります。
そこでこの記事では、千葉でお米を育てる現役の農業経営者であり、FP資格も持つ私が、自動車保険が使えない理由と「農家が本当に備えるべき保険」を徹底解説します。
- 自動車保険が使える事故・使えない事故の違い
- 農作業事故の実態
- 農家が備えるべき4つの保険


太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
農作業中の事故に自動車保険が使えない理由


自動車保険が補償の前提とするのは「走行」による事故
まず、トラクターなどの農耕作業用小型特殊自動車は、そもそも自賠責保険(強制保険)の加入対象外とされています。さらに、任意の自動車保険・共済が主に補償するのは、走行に起因する事故です。
圃場内で作業機を使用している最中のケガや損害は補償の対象外となることが多く、運転者自身のケガはそもそも対人賠償の対象になりません。
対象外になりやすい事故の例
- ロータリー・作業機への巻き込まれ
- 傾斜地やあぜ道でのトラクター転落・転倒
- 作業機の着脱中・点検中のケガ



「車の保険に入っているから大丈夫」が通用しないのが、農作業事故です。
公道走行中の事故なら自動車保険の対象
一方、圃場への移動などで公道を走行中に起きた事故は、任意の自動車保険や自動車共済に加入していれば補償の対象になります。つまり「どこで・何をしていたか」で、使える保険が変わるのです。
トラクターの自賠責・任意保険の考え方はこちらをどうぞ。
🔗【トラクターに自賠責は必要?】小型特殊と大型特殊の違いと入るべき保険を現役農家が解説
農作業事故は「多い・重い」が実態


死亡事故は例年200人を超える
農林水産省の調査では、農作業事故による死亡者は例年200人を超えています。最新の令和6年(2024年)は287人で、前年より51人増加しました(農林水産省・令和8年2月26日公表)。
しかも、その多く(令和5年は全体の62.3%)は乗用型トラクターなど農業機械作業による事故です。高齢の家族が作業する農家ほど、備えは切実な問題になります。



うちも祖父母が現役で作業しています。保険の見直しは「家族を守る経営判断」だと考えています。
農家が備えるべき4つの保険


農作業事故のリスクは、1つの保険ではカバーしきれません。次の4つを組み合わせるのが基本です。
| 備えるもの | 保険・制度 | カバーする内容 |
| 自分・家族のケガ | 労災保険の特別加入 | 治療費・休業補償・障害・遺族補償 |
| ケガの上乗せ | 傷害保険・共済 | 入院・通院の一時金など |
| 農業機械の損害 | 農機具共済など | トラクター等の修理・損害 |
| 経営への打撃 | 収入保険 | 収入減少の補てん |
① 労災保険の特別加入(最優先)
農業者は「特定農作業従事者」「指定農業機械作業従事者」「中小事業主等」のいずれかの区分で、労災保険に特別加入できます。



治療費だけでなく休業補償まで備えられるため、まず検討すべき制度です。
② 傷害保険・共済で上乗せする
労災でカバーしきれない入院・通院の負担には、傷害保険や共済で上乗せします。掛金と補償のバランスは、家族構成に合わせて選びましょう。
③ 農機具共済で機械の損害に備える
トラクターやコンバインの修理代は数十万円になることも珍しくありません。



農機具共済なら、事故や自然災害による機械の損害に備えられます。
④ 収入保険で経営の打撃に備える
ケガで作業できない期間が長引けば、収入そのものが減ります。収入保険は、自然災害や価格低下に加え、ケガや病気で作業できない場合の収入減少も幅広く補てんする制度です(加入には青色申告の実績が必要です)。
まとめ|「場面ごとに使える保険」を整理しておく
| 🌾 この記事のまとめ ・圃場での農作業中の事故は、自動車保険の対象外が原則 ・公道走行中の事故は、任意の自動車保険・共済に加入していれば対象になる ・人のケガは労災特別加入+傷害保険で備える ・機械は農機具共済、経営の打撃は収入保険でカバーする |
制度の内容は変わることがあります。最新の情報は農林水産省・各共済の公式情報でご確認ください。



公道走行の備え(自動車保険の選び方)は、こちらの記事にまとめています。










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