【農家の火災保険】倉庫と農機具は母屋の保険で守れない3つの理由

農業用倉庫にいる男性農家

※当記事はプロモーションを含みます

収穫した米、乾燥機、トラクター。倉庫の中には、農業経営そのものが入っています。もしその倉庫が火事になったら——考えたくない話ですが、備えているかどうかで、その後の営農はまったく変わります。

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「母屋の火災保険に入っているから、倉庫も大丈夫」。そう思っている農家は少なくありませんが、これは危ない思い込みです。

火災保険は、建物の「用途」で契約が分かれます。人が住む家は住宅物件、農業に使う倉庫は一般物件。同じ敷地にあっても、別の契約が必要です。

この記事では、現役の米農家(農業法人代表)の視点で、農業用倉庫にどんな備え方があるのか、加入前に何を確認すべきかを整理します。

📌 この記事でわかること
母屋の火災保険で農業用倉庫が守れない3つの理由
倉庫の中の農機具・米は補償されるのか
農家が選べる3つの備え方(NOSAI・JA共済・民間の火災保険)
加入前に必ず確認したい4つのポイント
共済掛金・保険料を経費にするときの考え方
この記事を書いた人
たち しょうえい

太智昭栄

Shoei Tachi

  • 農業経営者(2022年〜千葉県東部でお米を生産)
  • 日商簿記2級・3級FP技能士取得
  • 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信

目次

農業用倉庫は、母屋の火災保険では守れない

本文要約図解

理由①|「住宅物件」と「一般物件」は別の契約

人が住むための建物は「住宅物件」、店舗・事務所など居住以外に使う建物は「一般物件」です。

このほか、一定規模以上の工場は「工場物件」、営業用の倉庫は「倉庫物件」に分かれます。農業用倉庫は通常、一般物件として扱われます。

農機具を置き、収穫した米を保管する倉庫は、住まいではありません。用途としては一般物件にあたります。母屋の火災保険は住宅物件の契約なので、そこに農業用倉庫は含まれていないのが原則です。

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火災保険は、建物の使い方によって種別が分かれます。

理由②|「物置・車庫は補償対象」に、農業用倉庫は入らない

住宅の火災保険には、門・塀・垣・物置・車庫といった付属建物が補償対象に含まれるものがあります。この一文を見て「うちの倉庫も入っているはず」と考えてしまうのが、いちばん多い誤解です。

ここでいう物置・車庫は、あくまで住まいに付属するもので、農業という事業に使う建物とは性質が違います。

また契約によっては、申込書で「物置・車庫等を除く」と指定されている場合もあります。

理由③|建物と中身は、別々に契約する

火災保険も共済も、「建物」と「中身」を分けて考えます。倉庫そのものに保険をかけていても、中に入っている農機具や米が自動で補償されるわけではありません

農家の場合、この中身がとても大きい。ここが一般の住宅とまったく違うところです。

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まずは保険証券を出して、対象の建物に倉庫の名前があるか確認してみてください。

倉庫の中身は、建物より高いことがある

トラクター、コンバイン、田植え機、乾燥機、籾摺り機、色彩選別機。どれも1台で数百万円から、大きいものは1,000万円を超えます。そこに収穫した米や、翌年分の肥料・農薬が加わります。

倉庫という「箱」自体は、母屋より安く建っていることが多い。それなのに中身は、母屋の家財よりはるかに高くなります。建物の金額だけで保険を考えると、いちばん大きな損失を見落とします。

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私の法人では、トラクターとコンバインも車両として自動車保険(フリート契約)に入れていますが、車両を倉庫に置いてある間の火災は、自動車保険では守れません

そしてもうひとつ、見落としやすいものがあります。倉庫が使えなくなること自体の損失です。乾燥機と籾摺り機が焼ければ、その年の米は出荷できません。建物と機械を建て直すお金があっても、その年の売上は戻ってこない。倉庫は「いくらで建て直せるか」だけでなく、「止まったら何が起きるか」でも考える必要があります。

機械が「動いているとき」と「しまってあるとき」では、効く保険が違います。両方そろって初めて、切れ目のない備えになります。

農家が選べる3つの備え方

本文要約図解

① NOSAI(農業共済)の建物共済

農業共済組合が扱う制度です。住宅・納屋・倉庫などの建物に加えて、建物の中に収容されている家具類と農機具も対象にできます。ただし農機具は、建物に格納している間の事故が対象です。建物とは別に共済金額と掛金を設定します。

火災共済は1棟あたり6,000万円、総合共済は4,000万円まで。両方を合わせて1棟1億円が上限です。掛金の目安は、火災共済(普通物件・一般造)で補償金額1万円あたり年7.4円。1,000万円の補償なら年7,400円という水準です(NOSAI新潟の例。掛金率や取扱いは地域のNOSAIによって異なります)。

たとえば1,000万円の補償を付けた場合、火災共済の掛金は年7,400円。1日あたり20円ほどです。倉庫の中に入っている農機具の金額を思い浮かべると、決して高い負担ではありません。

② JA共済の建物更生共済「むてきプラス」

火災・自然災害に加えて地震にも備えられ、掛け捨てではなく満期共済金があるのが特徴です。そのぶん掛金は高くなります。なお地震等による共済金は、火災共済金額の50%が上限です。店舗や事務所などの建物も対象になるため、農業用建物の扱いはJAの窓口で確認してください。

③ 民間の損害保険会社の火災保険

一般物件として契約します。保険会社を選べる、補償を細かく組めるといった自由度があります。ただし農機具や農産物まで含めるには、建物とは別に「設備・什器」「商品・製品」といった枠で契約する必要があります。また地震保険は居住用建物と生活用動産だけが対象のため、住居として使わない農業用倉庫には付けられません。地震に備えるなら、損害保険会社の地震危険補償特約など事業用の特約で対応することになります。

比較項目NOSAI 建物共済JA共済 建物更生共済民間の火災保険
建物○(一般物件)
収容中の農機具○(家具類・農機具/格納中の事故・別掛金)要確認別枠で契約が必要
米・麦・大豆○(収容農産物補償特約/総合共済が前提・出荷販売用のみ)要確認別枠で契約が必要
自然災害総合共済なら○特約による
地震総合共済なら○(共済金額の50%が限度)○(火災共済金額の50%が限度)地震保険は対象外(居住用建物と生活用動産のみ)/地震危険補償特約等で対応
掛金のタイプ掛け捨て満期金あり掛け捨て

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建物共済で、必ず確認したい3つのこと

①火災共済だけでは、自然災害が入らない

建物火災共済が対象にするのは、火災・落雷・破裂爆発・外部からの物体の飛来・水ぬれ・盗難などです。台風や大雪、土砂崩れ、地震は対象外になります。自然災害まで備えるなら、建物総合共済が必要です。ただし地震等を原因とする火災で半焼以上になった場合は、火災共済でも地震火災費用共済金(1建物300万円限度)が支払われます。

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千葉は台風の通り道です。私自身は、自然災害を外すという選択肢は考えにくいと思っています。

②新価特約は、掛金が変わらない

何もしないと、共済金は経年減価を差し引いた「時価」で計算されます。築30年の倉庫だと、建て直すお金には届きません。

新価特約を付けると、再取得に必要な額が基準になります。しかもNOSAIでは、この特約を付けても掛金は変わりません(NOSAI新潟の例)。付けない理由が見当たりません。

③米・麦・大豆は「収容農産物補償特約」で

納屋などに保管中の米・麦・大豆は、この特約で火災や水害に備えられます。対象は出荷・販売用のものに限られ、自家消費分は含まれません。ただしこの特約を付けるには、その建物が総合共済に加入していることが条件です。

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建物・農機具・農産物。3つそろえて初めて、倉庫全体が守られます。

加入前のチェックリスト

💡 保険証券を出して確認する4項目
  • 保険証券の対象建物に、倉庫が入っているか
  • 農機具・農産物が対象に含まれているか
  • 自然災害(風水害・雪害・地震)まで入っているか(地震は支払割合に上限があります)
  • 補償金額は、建て直せる額になっているか

補償金額については、加入割合という考え方があります。NOSAIの建物共済では、建物と家具類の価値に対する補償金額の割合が80%以上なら、損害額がそのまま支払われます。80%を下回ると割合に応じて減額されるため、掛金を下げようと補償を削りすぎると、いざというときに足りません。

補償金額を決めるときの基準は、いまの建物を売ったらいくらかではなく、同じものをもう一度建てるといくらかかるかです。前に建てたときの金額のまま何年も更新していると、資材費や工賃が上がっている分だけ足りなくなります。

共済掛金・保険料は、農業に使う建物のものであれば損害保険料として経費(法人なら損金)にできます。ただしJA共済の建物更生共済のような積立型は、掛金のうち積立部分は経費にならず、保険積立金として資産計上します。経費になるのは掛け捨て部分だけです。自宅と兼用の建物は、使用実態に応じた按分が必要です。

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よくある3つの質問(Q&A)

倉庫が古くても入れますか?

NOSAIの建物共済は、現在管理されている建物であれば、古くても新価(再取得価額)での補償を選べます。むしろ古い建物ほど時価との差が大きくなるため、新価特約の効果が出ます。

農機具共済と建物共済、どちらに入るべきですか?

目的が違います。建物共済は建物と、その中に収容されている農機具が対象。農機具共済は農機具そのものが対象です。倉庫の火災に備えるなら建物共済、作業中の破損まで備えるなら農機具共済、という整理になります。

JA共済とNOSAI、両方に入る必要はありますか?

同じ建物に重ねてかけても、実際の損害額を超えて受け取れるわけではありません。補償が重複していないか、証券を並べて確認するのが先です。

保険は「足りない」も「入りすぎ」も損をする

倉庫の火災保険を調べていくと、次々に不安が出てきます。地震はどうか、賠償責任はどうか、働けなくなったときは——。ですが、すべてに入れば安心かというと、そうではありません。掛金は毎年出ていく固定費です。

必要なのは、いま何にいくら払っていて、どこが手薄で、どこが重複しているのかを一度並べてみること。これは自分ひとりでやると、意外と難しい作業です。

\ その「並べる作業」、ひとりでやらなくて大丈夫です

農業共済・JA共済・民間の保険。契約先がバラバラでも、
まとめて横に並べて、手薄なところと重複を整理してもらえます。

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まとめ|倉庫の保険は「建物・中身・災害の範囲」で決まる

農業用倉庫は、母屋の火災保険では守れません。用途が住宅物件ではなく一般物件だからです。そして倉庫は、建物そのものより中身のほうが高いことがあります。

備え方はNOSAIの建物共済、JA共済の建物更生共済、民間の火災保険の3つ。どれを選ぶにしても、確認することは同じです。建物・中身(農機具と農産物)・自然災害の範囲。この3点がそろっているかを、保険証券で見てください。

新価特約のように、掛金が変わらないのに補償が大きく変わる項目もあります。何年も見直していないなら、いまの証券を出すところから始めてみてください。

shoei

証券を出して並べるだけなら、雨の日の30分でできます。

\ 証券を出したあと、足りているかを判断するのが本番です

建物・中身・自然災害の3点。並べるところまでは30分でできても、
「これで足りているか」は、証券を見比べただけでは判断がつきません。

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出典・参考

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の共済・保険への加入を推奨するものではありません。補償内容・掛金・各制度の要件は改定される場合があります。また、地域のNOSAI・JAによって取扱いが異なる場合があります。最新の内容は各公式サイトでご確認のうえ、ご自身の状況に応じて専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

農業|ライター|千葉県山武郡横芝光町でコシヒカリを始めとしたおいしいお米を生産|Word、ドキュメント、WordPressでの記事の執筆|日商簿記2級|FP3級|食品衛生責任者|英検2級

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