【農家のふるさと納税】上限額の考え方と自腹を増やさない3つの手順

ふるさと納税を検討中の男性

※当記事はプロモーションを含みます。

「ふるさと納税をやってみたいけれど、いくらまでなら納税するべきか分からない」

「得をしたいというより、上限を読み違えて自腹を切る側には回りたくない」

ふるさと納税の上限に関する説明は、どのサイトも会社員の年収を前提にしたものばかりで個人事業主にはなかなか当てはめられませんよね。この記事ではTACHIFARM代表で農業歴4年の私が、農家の上限額の考え方を解説します。

📌この記事でわかること
  • ふるさと納税の「上限」が何を指すのか
  • 農家が上限を読み違えやすい3つの理由
  • 青色申告特別控除や収入保険が上限に与える影響
  • 自腹を増やさないための3つの手順
この記事を書いた人
たち しょうえい

太智昭栄

Shoei Tachi

  • 農業経営者(2022年〜千葉県東部でお米を生産)
  • 日商簿記2級・3級FP技能士取得
  • 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信

目次

ふるさと納税の「上限」とは何を指すのか

ふるさと納税でいう上限とは、自己負担が2,000円で収まる寄附額のことを指します。制度そのものに寄附できる金額の制限があるわけではなく、いくらでも寄附すること自体は可能です。ただし控除の側には計算上の枠があり、その枠を超えた部分は税金から差し引かれません。

上限を超えた分は、そのまま自己負担になります

shoei

まずは、控除がどのような仕組みで計算されているのかを押さえておきましょう。

上限を超えた分はあとから取り返せない

ふるさと納税は上限を超えて寄附してしまっても、あとから金額を戻すことができません。返礼品は調達費用が寄附額の3割以下と決められているため、超過分は差引きで損になります。

たとえば所得税率10%の方が上限を3万円超えた場合、その3万円分の自己負担はおよそ2万4,000円です。だからこそ、上限は攻めるものではなく、余裕を持って見積もるものだと考えています。

控除は所得税と住民税で計3つに分かれる

ふるさと納税による控除は、所得税からの控除と住民税からの控除の2本立てになっています。さらに住民税からの控除は、基本分と特例分という2つの部分に分けて計算されていきます。所得税分は寄附した年の所得税から還付され、住民税分は翌年度の住民税から差し引かれます。

この3つを合計した金額が、寄附額から2,000円を引いた額に届くかどうかが分かれ目です。

控除の種類計算式いつ効くか
①所得税からの控除(寄附額 − 2,000円)× 所得税の税率 × 1.021 ※対象寄附額は総所得金額等の40%まで寄附した年の所得税から還付
②住民税からの控除(基本分)(寄附額 − 2,000円)× 10% ※対象寄附額は総所得金額等の30%まで翌年度の住民税から差し引き
③住民税からの控除(特例分)(寄附額 − 2,000円)×(100% − 10% − 所得税の税率 × 1.021)翌年度の住民税から差し引き
特例分の上限住民税所得割額 × 20%超えた分は特例分が頭打ちになり自己負担が増える

上限を決めているのは住民税の「特例分」

この3つの控除のうち、上限を決める役割を担っているのが住民税の特例分にあたります。というのも、特例分にだけは住民税所得割額の2割という天井が設けられているからです。この天井に達するまでは、寄附額から2,000円を引いた全額が控除される計算になります。

反対にこの天井を超えると、超えた分には特例分が効かず、所得税分と住民税の基本分しか戻らないため自己負担がふくらみます。

農家が上限を読み違えやすい3つの理由

農家がふるさと納税で自腹を増やしてしまうのは、注意力が足りないからではありません。というのも、上限の計算方法そのものが、収入の安定した会社員を前提に作られているからです。

農業所得は天候や相場によって年ごとに大きく振れ、年末にならないと着地が見えません。

そのうえ帳簿の数字が完全に固まるのは、多くの場合、年が明けてからになってしまいます。つまり農家は、上限が確定していない状態で寄附を判断せざるを得ない立場に置かれています。

理由①:上限は「寄附した年の所得」で決まる

ふるさと納税の上限は前年ではなく、寄附したその年の所得によって決まる仕組みです。住民税の特例分が、翌年度に課税される住民税の所得割額をもとに計算されるためです。したがって年の途中で寄附する場合は、その年の着地見込みを自分で立てる必要があります。

shoei

米価が下がった年や、災害で減収した年は見込みが大きく外れることになります。

理由②:住民税決定通知書の数字は前年のもの

上限を調べるとき、手元にある住民税決定通知書を見る方は多いのではないでしょうか。しかし通知書に載っている所得割額は、あくまで前年の所得にもとづく金額にすぎません。

収入が前年より大きく落ち込んだ年に前年の数字で計算すると、上限を超えるおそれがあります。

shoei

通知書は参考程度にとどめ、その年の見込みで計算し直すことをおすすめします。

理由③:目安表は給与収入を前提にしている

総務省やポータルサイトが出している目安表は、給与収入を前提として作られています。そのため年収の欄に農業の売上をそのまま当てはめると、まったく違う答えが出てきます。というのも、給与所得控除と農業の必要経費では、差し引かれ方がまるで異なるからです。

シミュレーターを使う場合は、売上ではなく所得の欄がある詳細版のほうを選んでください。

shoei

私は法人化してるため、その年の役員報酬をもとに、ふるさと納税の上限額の目安を把握できてます。

農業所得ならではの3つの増減要因

上限を左右するのは売上ではなく、経費などを差し引いたあとの課税所得の大きさです。そして農業経営には、この課税所得を大きく動かす要素がいくつも組み込まれています。

代表的なものが、青色申告特別控除、専従者給与、そして収入保険や共済金の受け取りです。これらは節税や経営の安定のためには有効ですが、同時に上限額にも影響を及ぼします。それぞれがどちらの方向へ働くのかを、ここから順番に確認していくことにしましょう。

青色申告特別控除で課税所得が下がる

青色申告特別控除は、複式簿記での記帳に加えてe-Taxでの申告などの要件を満たすと、最大65万円が所得から差し引かれます。節税という点では大きな効果がありますが、その分だけ課税所得も下がることになります。

課税所得が下がれば住民税の所得割額も下がり、その結果として上限額も小さくなります。控除を使わない前提で計算すると、上限を高めに見積もってしまうので注意してください。

専従者給与を出すと本人の所得が下がる

家族に青色事業専従者給与を支払っている場合、届出などの要件を満たせば、その支払額は必要経費に算入されます。そのため世帯全体の所得は変わらなくても、本人の課税所得だけは確実に小さくなります。

専従者給与を増やした年は、代表者本人の上限も下がるものと考えておく必要があります。一方で給与を受け取った家族の側では、その人自身のふるさと納税の上限が生まれます。

🔗農家の専従者給与を徹底解説!家族への給料で節税する方法

収入保険の保険金や交付金は収入に入る

収入保険の保険金と、特約補填金のうち国庫補助相当分は、雑収入として事業所得に計上します。

しかも受け取った年ではなく、対象となる保険期間の年の収入として計上する扱いです。

経営所得安定対策の交付金なども、同じように収入として所得を押し上げる要素になります。減収した年ほど補填が入るので、思ったほど所得が下がらないことも十分に起こり得ます。

要素課税所得への影響上限額への影響
青色申告特別控除(最大65万円)下がる小さくなる
青色事業専従者給与本人は下がる/家族は上がる本人は小さく/家族に発生
収入保険の保険金・特約補填金(国庫補助相当分)上がる大きくなる
経営所得安定対策などの交付金上がる大きくなる
小規模企業共済・iDeCoの掛金下がる小さくなる

確定申告をする農家はワンストップ特例を使えない

ふるさと納税には、確定申告をせずに控除を受けられるワンストップ特例という制度があります。しかしこの制度は、確定申告の必要がない給与所得者などで、寄附先が5自治体以内の場合に限られます。青色申告をしている農家は毎年確定申告を行うため、この特例の対象から外れています。

そして確定申告をすると、提出済みのワンストップ特例の申請はすべて無効になります。

shoei

確定申告をする農家の場合は、自力で寄附金控除を申告する以外に選択肢がありません。

申告を忘れると自己負担になってしまう

寄附金控除の記入を忘れたまま確定申告を提出すると、そのままでは控除を受けられません。ワンストップの申請書を出していたとしても、確定申告によって無効になっているためです。放置すれば寄附額がそのまま持ち出しになりますが、期限内であれば更正の請求などで是正できる場合もあります。

申告のたびに、寄附金受領証明書がすべてそろっているかを確かめてください。

必要な書類と申告の期限

寄附金控除を申告するには、寄附先の自治体が発行する寄附金受領証明書が必要になります。複数の自治体へ寄附した場合は、証明書もその数だけ届くため、保管には注意が必要です。

申告の期限は、寄附した年の翌年3月15日までに提出する確定申告と同じになります。

なお特定事業者が発行する寄附金控除に関する証明書を使えば、そのサイト分の証明書を1枚にまとめられます。

🔗 農家の確定申告のやり方はこちら

自腹を増やさないための3つの手順

ここまでの内容をふまえて、個人事業主のときに私が実際に行ったふるさと納税の進め方を3つの手順で紹介していきます。

STEP1:11月から12月に所得の見込みを立てる

最初にやることは、その年の農業所得がどのあたりに着地しそうかを見積もる作業です。米の販売量と単価がおおむね見えてくる11月から12月が、判断しやすい時期になります。

会計ソフトを使っていれば、その時点までの損益を出して残りを足せば概算がつかめます。さらに精度を上げたいなら、収入保険の保険金の見込みまで含めて計算しておきましょう。

STEP2:上限は控えめに見積もる

見込みの所得が出たら、詳細版のシミュレーターで上限額のおおよその金額を出します。そのうえで私は、計算結果の8割程度を実際の寄附額の目安として使うようにしています。というのも、年末の出荷や経費の変動で、所得が想定と数十万円ずれることがあるからです。

2割の余裕を持たせておけば、多少所得が下振れしても自己負担を2,000円に収めやすくなります。

STEP3:確定申告で寄附金控除を申告する

年が明けたら、確定申告書の寄附金控除の欄に、寄附した合計金額を忘れずに記入します。このとき、住民税の欄にある寄附金税額控除の記入もあわせて確認しておきたいところです。

e-Taxを使う場合は、証明書のデータを読み込ませることで入力の手間を減らせます。この手順まで終えて初めて、ふるさと納税の控除に関する手続きが完了することになります。

「うちの上限」は自分の数字でしか出せない

ここまでお伝えしてきたとおり、上限額は所得の見込みが決まらないと計算できません。そして所得の見込みは、経営規模や家族構成、ほかの所得によって一軒ごとに変わります。

ふるさと納税だけでなく、社会保険料や共済の掛金まで含めて考えたい場合もあるはずです。家計と経営をまとめて整理したいなら、ファイナンシャルプランナーに相談する方法もあります。

うちはいくらまで大丈夫か——この一点だけは、
経営規模も家族構成も違う以上、自分の数字を並べないと出てきません。

上限の考え方をFPに無料で相談する ≫

相談は無料です

まとめ|上限は「攻める」ものではなく「下回る」もの

農家のふるさと納税で大切になるのは、返礼品選びよりも上限額の見積もり方のほうです。上限は寄附したその年の所得で決まり、前年の通知書や給与前提の目安表は使えません。さらに青色申告特別控除や専従者給与、収入保険の保険金が課税所得を上下に動かします。

寄附は年末まで待ったうえで、計算した上限の8割程度に抑えるのが安全です。

そして確定申告のときには、寄附金控除の記入を絶対に忘れないよう気をつけてください。

🌾 この記事のまとめ
上限とは、自己負担が2,000円で収まる寄附額のこと
上限を決めているのは住民税の特例分で、住民税所得割額の2割が天井
上限は前年ではなく、寄附したその年の所得で決まる
総務省やサイトの目安表は給与収入が前提。売上を当てはめてはいけない
青色申告特別控除・専従者給与は上限を下げ、収入保険の保険金は上げる
確定申告をする農家はワンストップ特例を使えないので、確定申告で寄附金控除を申告する

税制や運用は改正されることがあるため、最新の情報は総務省や国税庁の公表資料でご確認ください。

あわせて読みたい記事

相談は無料です

ふるさと納税の上限は、所得が読めて初めて決まります。
収入の波をどう見込むかから一緒に整理してもらう、という手もあります。

農家のお金まわりを無料で相談する ≫

▼参考・出典

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

農業|ライター|千葉県山武郡横芝光町でコシヒカリを始めとしたおいしいお米を生産|Word、ドキュメント、WordPressでの記事の執筆|日商簿記2級|FP3級|食品衛生責任者|英検2級

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次