「今月の返済、正直きつい」——不作に資材高騰、米価の低迷。どれだけ真面目に働いても、自分の努力ではどうにもならない理由で資金繰りが苦しくなるのが、いまの農業です。夜、通帳の残高を思い浮かべて眠れなくなる。そんな不安を抱えている方も、少なくないはずです。
でも、大丈夫。滞納してしまう前に動けば、立て直せる可能性は十分にあります。
その有力な選択肢がリスケ(リスケジュール=返済条件の変更)です。毎月の返済額を一時的に減らしたり、返済期間を延ばしたりして、資金繰りに息をつく余裕を取り戻すための正式な手続きです。
この記事では、現役の米農家であり農業法人代表でもある私が、リスケの進め方と相談先を、実際の流れに沿って整理します。
TACHIFARM代表読み終える頃には、「まず誰に、何を相談すればいいか」の判断ができるようになります。
| 📌 この記事でわかること ・リスケ(返済条件変更)とは何か ・滞納前に相談すべき相談先(公庫・JA・金融機関ほか) ・リスケの方法(元金据置・期間延長など)と必要書類 ・知っておきたい注意点(総返済額・今後の融資への影響) |
資金繰りの見える化や経営改善計画づくりは、マネーフォワードクラウド会計が役立ちます


太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
そもそも、リスケ(返済条件変更)とは
リスケとは、金融機関と話し合って、借入の返済条件を一時的に変更してもらうことです。借金が減るわけではありませんが、当面の返済負担を軽くして資金繰りを立て直すための現実的な手段です。
実際、財務省の公表資料によると、日本政策金融公庫などの政府系金融機関では、貸付条件の変更等の申込みの実行率は約99.8%(令和7年4月~令和8年2月末実績・中小企業者向け)にのぼり、返済が見込めると判断されれば応じてもらえるケースは少なくありません。



一人で抱え込まず、まず相談することが第一歩です。
まず、滞納前に相談する|相談先ってどこ?


最も大切なのはタイミング。返済が遅れてからでは選択肢が狭まります。「厳しいかも」と感じた段階で、借入先に相談しましょう。
| 相談先 | 内容 |
|---|---|
| 日本政策金融公庫 | 農業向け融資の取引支店へ。条件変更の相談・申込 |
| JA(農協) | JAからの借入の返済相談・条件変更 |
| 民間金融機関 | 銀行・信用金庫などの借入の返済相談 |
| 認定経営革新等支援機関 | 税理士等。経営改善計画づくりを支援 |
リスケの主な3つの方法
返済負担を軽くする方法には、次のようなものがあります。
- 元金の据置:一定期間、利息のみの支払いにして元金返済を止める(負担軽減が大きい)。
- 返済期間の延長:毎月の返済額を抑えるため、返済期間を延ばす。
- 毎月返済額の減額:当面の返済額を引き下げる。
必要な3つの書類と進め方
相談・申込の際は、経営や資金繰りの実情がわかる書類を求められます。
- 税務申告書・決算書(直近の経営状況)
- 資金繰り表(今後の入出金と資金の見通し)
- 経営改善計画書(どう立て直すかの計画)
| 💡 “立て直しの計画”が説得力になる リスケが認められるかは、「条件を変えれば返済を続けられる」と示せるかにかかっています。資金繰り表と経営改善計画を準備し、根拠を持って説明できると、話がスムーズに進みます。会計ソフトで数字を整えておくと、書類づくりがぐっとラクになります。 |
【資金繰り表プレゼント】農業の資金計画の作り方を米農家が解説
リスケのときの3つの注意点
- 総返済額は増えることがある:期間延長などで利息の総額が増える場合がある。
- 新規融資が受けにくくなることがある:リスケ中は追加の借入が難しくなる傾向。
- 必ず認められるわけではない:返済の見込みが示せないと、応じてもらえないこともある。
| ⚠️ 早期相談がいちばんの対策 返済が滞ってからでは、信用情報への影響や交渉の難しさが増します。「厳しい」と感じたら滞納前に相談。これが最も大切なポイントです。 |
よくある2つの質問(Q&A)
資金繰り表・経営改善計画は、クラウド会計で土台づくり


リスケの成否は、資金繰りの見える化と説得力のある経営改善計画にかかっています。クラウド会計ソフトを使えば、日々の取引から資金繰りの状況を把握しやすく、決算書や月次の数字もすぐ用意できます。
金融機関への説明資料づくりがスムーズになり、相談も前に進みます。



返済が厳しいと感じる前から、数字を整えておくことが備えになります。
まとめ
リスケは、返済条件を一時的に変えて資金繰りを立て直す現実的な手段。元金据置・期間延長・返済額の減額などの方法があります。
最大のポイントは滞納前に早めに相談すること。
相談先は日本政策金融公庫・JA・民間金融機関、そして税理士などの認定支援機関です。決算書・資金繰り表・経営改善計画書を準備しましょう。総返済額の増加や新規融資への影響など注意点もあります。
資金繰りの見える化はクラウド会計ソフトで整え、一人で抱えず専門家に相談しながら立て直しましょう。
出典・参考
・日本政策金融公庫「よくあるご質問(農林漁業を営む方)」「金融円滑化に向けた取り組み」
・財務省「政府系金融機関における貸付条件の変更等の状況について(令和8年2月末時点)」
・中小企業庁「認定経営革新等支援機関」
・各金融機関の条件変更(リスケジュール)に関する解説(2026年7月閲覧)
※本記事は一般的な情報提供であり、特定の金融商品・制度への加入を推奨するものではありません。各制度の要件・取扱いは変更される場合があります。最新の内容は各公式サイトでご確認のうえ、ご自身の状況に応じて専門家にご相談ください。










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