「冬の暖房に使うA重油や灯油が高くて、経営が苦しい…」——ハウスで野菜や花、果樹を育てる施設園芸農家にとって、燃料費の高騰は経営を直撃する大問題です。
その急な値上がりに備えるのが施設園芸セーフティネット構築事業。農業者と国がお金を出し合って積み立て、燃料価格が一定の基準を超えたら補填金を受け取れる仕組みです。私は米農家を営みながら農業の補助金・税務情報を発信しており、本制度も農林水産省・日本施設園芸協会の資料を一次情報まで確認して整理しました。
この記事では、令和8事業年度の内容をふまえ、補填の仕組み・対象燃料・加入要件・申請の流れ・お金の管理までをまとめます。読み終えれば「自分のハウスで使えるか」「いくら備えられるか」が見えてきます。
| 📌 この記事でわかること ・補填金が出る仕組み(積立と発動) ・対象になる燃料・加入要件(省エネ計画など) ・申請の流れと公募時期 ・補填金・積立金のお金の管理 |
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太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
施設園芸セーフティネット構築事業とは

施設園芸セーフティネット構築事業とは、燃料価格が高騰したときに、施設園芸農家へ補填金を交付して経営を守る国の事業です。運営は日本施設園芸協会と各都道府県の協議会が担っています。
ポイントは、農業者と国が1対1の割合でお金を積み立てておくこと。あらかじめ備えておき、価格が上がった月に積立金から補填する保険のような仕組みです。
補填金が出る仕組みとは|「発動基準」を超えた月に交付
燃料価格が、あらかじめ決めた発動基準(補填基準価格)を上回った月に、その上回った分に応じて補填金が交付されます。計算式は次のとおりです。
| 💡 補填金の計算イメージ 補填金 = 補填単価 × その月の燃料購入量 × 70% |
さらに、省エネ機器の導入と被覆資材等を組み合わせ、燃料使用量を50%以上削減する取組(省エネ加速化特例)に加入すると、補填割合が70%→100%に引き上げられます。
対象になる4つの燃料とは

施設園芸の加温(暖房)に使う、A重油・灯油・LPG・LNGが対象です。ハウスの暖房や加温に使う燃料が、価格変動リスクの備えの対象になります。
セーフティネットで“備える”一方で、日々の燃料費そのものを下げる工夫も大切です。今すぐできる節約術は次の記事でまとめています。
加入するための2つの要件|省エネ計画とグループ要件
加入には、主に次の要件があります。
- グループで取り組む:施設園芸農家3戸以上、または常時従事者5名以上の農業者・団体で構成すること
- 省エネ計画の作成:3年間で燃料使用量を15%以上削減する「省エネルギー等対策推進計画」を作ること
つまり、ただ補填を受けるだけでなく、省エネに取り組むことがセットの条件になっています。
申請のための5ステップと公募時期
加入できるか、グループ構成や省エネ計画を確認する。
3年で燃料15%削減の推進計画を作る。
協議会を通じて加入申請する。
農業者と国が1対1で資金を積み立てる。
燃料価格が基準を超えた月に補填金を受け取る。
| ⚠️ 注意 公募期間が決まっています。令和8事業年度は令和8年4月15日〜7月31日が公募、補填対象は令和8年10月〜令和9年6月です。年度ごとに変わるので、早めに都道府県協議会へ相談しましょう。 |
【見落とし注意】補填金・積立金のお金の管理
受け取った補填金は、収入(雑収入など)として計上し、確定申告で処理します。燃料費(経費)と合わせて記帳しておくことが大切です。
また、積立金の拠出や戻りなど、お金の出入りが複雑になりがちです。帳簿を整えておくと、補填の確認も決算も楽になります。日々の記帳を仕組み化しておきましょう。資金繰り表の作り方は次の記事で解説しています。
よくある4つの質問(Q&A)
会計ソフトで補填金・積立金の管理しよう

燃料費という大きな変動費に、積立金の拠出や補填金の受け取りが加わると、お金の管理は一気に複雑になります。手作業ではミスや見落としが起きがちです。クラウド会計ソフトを使えば、入出金の記帳から集計・決算までを自動化でき、資金繰りの把握もぐっと楽になります。
私も日々の記帳はクラウド会計に任せ、農作業の時間を確保しています。経理の仕組みを早めに整えておくと安心です。
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まとめ:備えと省エネをセットで、燃料高騰に強い経営へ
施設園芸セーフティネット構築事業は、燃料高騰という避けにくいリスクに、あらかじめ備えるための制度です。最後に要点を整理します。
| 🌾 押さえるべき3つのポイント ①農業者と国が1:1で積立。発動基準を超えた月に補填 ② 対象はA重油・灯油・LPG・LNG。グループ+省エネ計画が要件 ③ 補填金は課税対象。燃料費とあわせて記帳を |
まずは都道府県協議会への相談から。備えと省エネをセットで進めて、燃料高騰に強い経営をつくっていきましょう。
出典(一次情報)


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