
補助金が複雑でどこに何を申請すればいいのかわからない…
そんな悩みを持つ農業者の方は多いと思います。
みどりの食料システム戦略は、農林水産省が2021年5月に策定した方針で、食料生産から消費までの全過程で環境負荷を低減しつつ、生産力向上と持続可能性を両立させる包括的な戦略です。持続可能な社会を実現するため、イノベーションを活用して循環型食料システムを構築することを目指します。
この記事ではTACHIFARM代表で農業歴4年の私がみどりの食料システム戦略推進交付金の要件についてわかりやすく解説します。



これからの農業を一緒に盛り上げましょう!
- みどりの食料システム戦略推進交付金の補助率・補助額の上限
- 補助対象となる具体的な取組内容(機械・施設・技術など)
- 対象者の要件とNG条件
- みどりの食料システム法(みどり法)との関係
- 実際の申請ステップ(都道府県経由の申請フロー)
⚠️ 注意事項: 本記事の情報は2026年4月時点の公開情報をもとにしています。補助率・対象要件は年度や取組内容によって変更される場合があります。申請前には必ず農林水産省の公式サイトまたは都道府県の担当窓口でご確認ください。
みどりの食料システム戦略推進交付金の補助額の上限・補助率


取組別の補助率と上限額(有機農業・化学農薬低減等)
みどりの食料システム戦略推進交付金における補助率は、取組の種類によって「定額」または「補助対象経費の1/2以内」の2パターンに分かれています。
以下の表で主な取組別の補助率の目安を整理します。
| 取組区分 | 補助率(目安) | 主な対象 |
|---|---|---|
| 有機農業の実証・普及 | 定額(面積単価等) | 有機農業への転換に必要な経費全般 |
| グリーンな栽培体系への転換 | 定額または1/2以内 | スマート農業機械・施設導入等 |
| 化学農薬低減技術の導入 | 1/2以内 | 農薬散布機械・代替資材等 |
| 化学肥料低減技術の導入 | 1/2以内 | 堆肥製造施設・土壌分析機器等 |
| 有機農業産地づくり | 定額 | 産地形成に向けた合意形成・研修等 |
- 補助率は年度・都道府県・取組内容によって変動します。上表はあくまでも目安であり、実際の補助率・上限額は年度ごとの公募要領および担当都道府県窓口でご確認ください。
- 補助上限額は取組の内容や規模によって異なります。複数の取組を組み合わせれば、より大きな支援を受けられる場合もあります。
- 補助上限額については、個々の事業計画の規模・内容・地域の実施体制によって異なり、一律の上限が設定されているわけではありません。都道府県を通じて申請する際に、事業内容ごとの交付可能額が提示されます。
補助対象となる取組の具体例(機械・施設等の価格感含む)
農業のグリーン化推進として補助対象になる具体的な取組と、導入コストの目安を見ていきましょう。
スマート農業機械の導入(化学農薬・化学肥料の削減)
- 農業用ドローン(農薬散布用):本体価格150〜300万円程度(参考価格・機種により大きく異なります)。農薬散布の精度が上がり、使用量を削減できる事例もあります。
- 自動操舵システム付きトラクター:後付けオプション込みで50〜150万円程度(参考価格・メーカーにより異なります)。施肥の均一化による化学肥料の削減に効果的。
- 水管理システム(スマートフォン連動型):1セット30〜80万円程度(参考価格)。水田の適切な水管理でメタンガス発生を抑制。
有機農業への転換に関する経費
- 有機JAS認証取得費用:初年度5〜30万円程度(認証機関・農場規模により大きく異なります。農林水産省登録の認定機関約80機関に個別見積もりが必要)。この費用も補助対象になりえます。
- 防虫ネット・マルチ等の資材:有機栽培では農薬の代わりに物理的防除資材を使います。10aあたり5〜15万円程度が目安(参考価格)。
- 堆肥製造・散布機械:化学肥料から有機肥料への転換に必要。堆肥散布機は50〜200万円程度(参考価格・機種により異なります)。
土壌改良・施設整備
- 土壌分析機器:50〜200万円程度(参考価格)。肥料の過不足を見える化し、化学肥料の削減につなげます。
- 緑肥播種機・不耕起播種機:30〜100万円程度(参考価格)。緑肥を活用した土壌づくりで化学肥料の代替が可能。
- 上記の価格はいずれも参考価格であり、メーカー・機種・認証機関によって大きく異なります。実際の導入費用は各メーカーまたは取扱業者にお問い合わせください。
- 機械を1台導入するだけでも数十〜数百万円のコストがかかります。補助率1/2であれば、半分の自己負担で導入できる計算になります。
みどりの食料システム戦略推進交付金の対象者とは


有機農業・グリーン化取組の要件
この補助金の対象者は、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 有機農業に取り組む農業者(個人・法人どちらも可)
- 化学農薬の使用量削減に取り組む農業者
- 化学肥料の使用量削減に取り組む農業者
- 温室効果ガスの削減につながる栽培技術を導入する農業者
- 上記の取組を行う農業者グループ・農業法人・農業協同組合等
個人農業者だけでなく、農業法人や農業者グループ(集落営農組織等)も申請対象になる点は覚えておきましょう。特に面積規模の大きい取組や産地形成を目指す取組では、グループや法人での申請が求められることもあります。



申請にあたっては事業計画書の作成・提出が必要で、計画の妥当性・実現可能性が審査されます。
みどりの食料システム法(みどり法)との関係



みどりの食料システム法(みどり法)は別物ですか?
よく混同されますが、両者は密接に関係しながらも役割が異なります。
みどりの食料システム法(2022年7月施行)とは、農業者が「環境負荷低減事業活動実施計画」を策定し、都道府県知事の認定を受けることで各種優遇措置を受けられる制度です。
| 認定を受けると得られるメリット | 内容 |
|---|---|
| 税制優遇(グリーン投資促進税制) | 導入設備の取得価格の16〜32%を特別償却(機械等32%・建物等16%)※ |
| 無利子融資 | 日本政策金融公庫「農業改良資金」(個人上限5,000万円・全期間無利子・償還12年以内) |
| 補助金採択での加点 | みどりの食料システム戦略推進交付金の選考で最大20点加算 |
みどりの食料システム戦略推進交付金(補助金)はこのみどり法の認定を前提とする取組もあれば、認定なしでも申請可能な取組もあります。ただし、みどり法の認定を受けておくと補助金採択に有利になるため、並行して手続きを進めることをおすすめします。
💬「農業改良資金は全期間無利子・償還期間12年以内という破格の条件です。補助金と組み合わせると初期投資の負担が大幅に軽減されます。」
- 【税制優遇の適用期限に注意】 グリーン投資促進税制は令和6年度税制改正で延長されましたが、延長後の適用期限は令和8年3月31日(2026年3月31日)です。令和8年4月以降に設備を取得する場合は利用できない可能性があります。最新の税制改正情報(令和7年度・令和8年度改正)を国税庁または税理士にご確認の上、申請を検討してください。
NG条件
以下に該当する場合は採択されない、または申請できません。
- 既存の補助事業と内容が重複している取組(他の国庫補助金との重複受給はNG)
- 取組の実施期間・計画が不明確な場合(具体的な数値目標・実施スケジュールが必要)
- 対象地域の基本計画と合致しない取組(都道府県・市町村の農業振興計画との整合性が必要)
- 継続的な取組の意思がない場合(単発的な取組ではなく、持続的な環境負荷低減が前提)
- 農業者・農業法人等に該当しない個人・団体(農業外の事業者は対象外)
みどりの食料システム戦略推進交付金の自己負担割合とは
補助率が「定額」の取組と「1/2以内」の取組では、自己負担の考え方が異なります。
定額補助の場合
面積単価や取組単価があらかじめ定められており、その金額が交付されます。実費がそれを上回った分は自己負担になりますが、定額の範囲内であれば実質的な自己負担ゼロのケースもあります。
例:有機農業転換の実証経費として「10aあたり○万円」という形で定額が設定される。
補助率1/2以内の場合
対象経費の最大50%が補助されます。残りの50%以上は自己資金または融資で賄う必要があります。
| 取組例 | 補助率 | 自己負担の最低ライン |
|---|---|---|
| 有機農業実証・普及 | 定額 | 超過分のみ |
| 機械・施設導入(グリーン化) | 1/2以内 | 対象経費の1/2以上 |
| 産地づくり(研修・合意形成) | 定額 | 定額超過分のみ |
| 化学農薬・肥料低減技術導入 | 1/2以内 | 対象経費の1/2以上 |
誰でもできる!みどりの食料システム戦略推進交付金の申し込み手順5ステップ


申請の流れは「都道府県経由で国へ申請」という形になります。農業者が農林水産省に直接申請することはなく、必ず都道府県の農政担当窓口を通す仕組みです。
STEP1|取組内容・事業計画を検討する
まず、自分の農業経営においてどんなグリーン化取組を行うかを検討します。
- 有機農業への転換なのか
- 化学農薬の削減なのか
- 化学肥料の削減なのか
- スマート農業機械の導入なのか
STEP2|都道府県の担当窓口へ事前相談する
申請前に必ず都道府県農政担当部署への事前相談を行いましょう。各都道府県に「みどりの食料システム戦略」の担当課(農政部・農林水産部など)が設置されています。
- 「自分の取組が補助対象になるか」の確認
- 「申請時期・書類の準備方法」の確認
- みどり法の認定取得が必要かどうかの確認
💬「事前相談は早ければ早いほどよいです。公募開始直前に相談しても間に合わないことがあります。前年度の秋〜冬に動き始めるのが理想的です。」
STEP3|みどり法の認定申請(必要な場合)
補助金の採択で加点を得るためにも、並行してみどり法の「環境負荷低減事業活動実施計画」の認定申請を進めます。
- 申請先:都道府県知事(都道府県農政担当窓口)
- 必要書類:環境負荷低減事業活動実施計画書(農薬・肥料の削減目標等を記載)
- 認定後の効果:補助金採択加点(最大20点)・無利子融資・税制優遇が受けられる
STEP4|交付申請書類を作成・提出する
都道府県から示されるスケジュールに従い、以下の書類を作成して提出します。
- 交付申請書(様式は都道府県から提示)
- 事業実施計画書(取組内容・数値目標・スケジュール)
- 環境負荷低減目標が明記された計画書
- 機械・施設の見積書(2社以上が望ましい)
- 農業者であることを証明する書類(農業者台帳・青色申告決算書等)
STEP5|採択通知後に事業実施・完了報告を行う
採択通知が届いてから、機械の発注・工事の着工を行います。採択前の発注・着工は補助対象外になるため、必ず通知を受け取ってから動き始めてください。
事業完了後は写真・領収書等を添えて完了報告書を提出し、審査後に補助金が交付されます。
💬「補助金は後払いが基本です。事業費を一時立て替えする資金の準備も忘れずに。」
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | みどりの食料システム戦略推進総合対策(交付金名:みどりの食料システム戦略推進交付金) |
| 所管省庁 | 農林水産省 |
| 補助率 | 定額(取組による)または事業費の1/2以内 |
| 対象者 | 有機農業・化学農薬低減・化学肥料低減等に取り組む農業者・農業法人・農業者グループ等 |
| 対象取組 | 有機農業実証・スマート農業機械導入・堆肥製造施設・土壌分析機器・産地形成支援等 |
| 自己負担 | 定額タイプ:超過分のみ/1/2タイプ:事業費の1/2以上 |
| 申請窓口 | 都道府県農政担当部署(都道府県経由で農林水産省へ) |
| みどり法との関係 | 認定取得で補助金採択に加点(最大20点)・農業改良資金(無利子)利用・税制優遇(適用期限要確認)が受けられる |
| 注意点 | 採択通知前の着工・発注は補助対象外 |
農業のグリーン化は、農業者の経営改善と環境保全を同時に実現できる取組です。「まず有機農業・農薬削減に興味がある」という方も、ぜひ都道府県の担当窓口への事前相談から始めてみてください。
💬「みどりの食料システム戦略推進交付金は、補助金だけでなく無利子融資・税制優遇とのセット活用が強力です。制度を組み合わせて最大限に活用してください。」
申請書類・要項へのダイレクトリンク
申請に必要な書類・要項は下記リンクから直接入手できます。申請書類は年度ごとに更新されるため、必ず最新版をご使用ください。
| 書類・情報の種類 | 入手先 |
|---|---|
| 農林水産省|みどりの食料システム戦略(全般) | 農林水産省公式ページ |
| 農林水産省|みどりの食料システム法(認定制度) | 農林水産省公式ページ |
| 農林水産省|有機農業の推進 | 農林水産省公式ページ |
| 農林水産省|農業改良資金(無利子融資) | 農林水産省公式ページ |
| eMAFF(農林水産省電子申請) | 農林水産省公式ページ |
申請窓口: 都道府県農政担当部署(農政部・農林水産部等)
⚠️ みどりの食料システム法の認定申請は都道府県知事宛(都道府県農政担当窓口)に提出します。補助金の申請書類は都道府県窓口での事前相談時に入手してください。










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