【軽トラの経費】按分のやり方と帳簿のつけ方を現役米農家が解説

ガソリンスタンドでの黄昏の休憩

田んぼにも、買い物にも使う軽トラ。そのガソリン代や車検代を「なんとなく全額」経費にしていませんか。あるいは逆に、「プライベートでも使うから」と、まるごと経費から外していませんか。

どちらも、もったいない処理です。正しくは、事業で使った割合だけを経費にする「家事按分(かじあんぶん)」という方法を使います。この記事では、現役の米農家として、軽トラの経費の按分のやり方を、帳簿のつけ方まで含めて解説します。

この記事でわかること
  • 家事按分とは何か
  • 軽トラで経費にできる5つの費用
  • 按分割合の2つの決め方
  • 帳簿のつけ方と3つの注意点

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この記事を書いた人
たち しょうえい

太智昭栄

Shoei Tachi

  • 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
  • 日商簿記2級・3級FP技能士取得
  • 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信

目次

そもそも家事按分とは?

家事按分とは、事業とプライベートの両方に使うものの費用を、使った割合で分けて経費にすることです。軽トラのように、農作業にも私用にも使う車は、この家事按分の代表例です。

たとえば、ガソリン代が年間10万円かかり、そのうち農業で使った割合が7割なら、7万円を経費にできます。残りの3万円は私用分なので、経費にはなりません。「全部」でも「ゼロ」でもなく、実態に合わせて分けるのがルールです。

なお、農業専用で私用にはいっさい使わない軽トラなら、全額を経費にできます。私用と兼ねている場合に、按分が必要になると覚えておきましょう。この考え方は、軽トラに限らず、自宅の一部を事務所として使う場合の電気代や通信費などにも共通します。家事按分を理解しておくと、ほかの経費の処理にも応用が利きます。

軽トラで経費にできる5つの費用

軽トラにかかる費用のうち、按分して経費にできる主なものは次の5つです。

費用勘定科目の例
ガソリン代車両費・燃料費
自動車税(軽自動車税)租税公課
自動車保険(任意・自賠責)保険料・車両費
車検代・修理代車両費・修繕費
車両本体(減価償却)減価償却費

これらに、農業で使った割合をかけた金額が経費になります。ガソリン代の管理を効率化したい方は、農家の燃料費削減|今すぐできる3つの節約術もあわせてご覧ください。

按分割合の2つの決め方

ガソリンスタンドでの夕日と静かな時間

いちばん悩むのが「何割を事業用にするか」です。割合は、合理的な根拠で決める必要があります。代表的な決め方は2つです。

走行距離で決める

もっとも説得力があるのが、走行距離による按分です。年間の総走行距離のうち、農業で走った距離の割合を出します。たとえば、年間1万キロ走り、そのうち農業用が6,000キロなら、按分割合は60%です。この場合、軽トラの費用の6割を経費にできます。

使用日数で決める

走行距離の記録が難しい場合は、使用日数で按分する方法もあります。週6日のうち農作業で使うのが5日なら、おおよそ8割、といった具合です。いずれの方法でも、「なぜその割合なのか」を説明できることが大切です。

使い方のパターン別・按分割合の目安

按分割合は、軽トラの使い方によって変わります。イメージをつかむための目安を挙げておきます。

軽トラの使い方事業割合の目安
ほぼ農作業専用、私用はごくまれ90〜100%
平日は農業、休日は買い物などに使う60〜80%
農業と私用が半々くらい50%前後

あくまで目安なので、自分の実態に合わせて調整してください。大切なのは、数字をそれらしく作ることではなく、実際の使い方に即して、根拠をもって決めることです。

軽トラの減価償却に注意

軽トラを買った場合、その代金は買った年に全額を経費にできるわけではありません。減価償却といって、決められた年数に分けて、少しずつ経費にしていきます。

軽自動車の法定耐用年数は、新車で4年です。たとえば100万円の軽トラを新車で買えば、毎年25万円ずつを4年かけて経費にするイメージです(定額法の場合)。さらに、その金額に事業で使った割合をかけたものが、実際の経費になります。

中古で買った場合は、耐用年数が短くなり、より早く経費にできます。農機具や車両は中古を選ぶ農家も多く、節税の観点でも中古は有力な選択肢です。なお、青色申告をしていれば、取得価額30万円未満の資産を、年間合計300万円まで一度に経費にできる特例が使える場合もあります。減価償却は最初こそ分かりにくいものの、仕組みを一度つかめば毎年同じ計算の繰り返しです。

帳簿のつけ方と3つの注意点

按分を正しく行うには、日々の記録が欠かせません。次の点を意識しておきましょう。

  • ガソリン代などは全額をいったん記録し、決算のときに按分割合をかける
  • 走行距離や使用日数の根拠となるメモを残しておく
  • 按分割合は、毎年同じ考え方で計算する

按分は、税務署から「その割合の根拠は?」と問われることもあります。後から説明できるよう、記録を残しておくことが何よりの備えです。個人事業のガソリン代の帳簿づけは、個人事業主のガソリン代|帳簿・按分・青色申告の手順で詳しく解説しています。

按分でやりがちな4つの失敗例

最後に、軽トラの経費でつまずきやすい点を挙げておきます。

  • 根拠なく「8割」などと決める:説明できないと、税務調査で否認されるおそれがある
  • 私用分まで全額経費にする:これは認められず、後から追徴されるリスクがある
  • 割合を毎年コロコロ変える:使い方が変わらないのに割合だけ動かすと、不自然に見える
  • 減価償却を忘れる:車両本体を買った年に全額経費にしようとすると、計上できない

いちばん大切なのは、「正直な割合」を「根拠とともに」残しておくことです。やましさのない処理であれば、税務署に問われても堂々と説明できます。

ガソリン代の管理をラクにする1つの方法

夕暮れのガソリンスタンド

按分の手間を減らすには、そもそもの記録をシンプルにするのが近道です。給油のたびにレシートを集め、手入力するのは骨が折れます。

そこで便利なのが、農業用のガソリンカードです。高速情報協同組合のガソリンカードで給油の記録をまとめて管理すると、いつ・いくら給油したかが明細で残り、帳簿づけや按分の計算がぐっと楽になります。現金払いでレシートを失くす心配もなく、燃料費の見える化にもつながります。

どの農機がどれだけ燃料を使っているかを把握すれば、コスト削減のヒントにもなります。給油のたびに手書きで記録する手間がなくなるだけでも、年間にすればかなりの時間の節約になります。明細がそのまま按分の根拠資料になる点も、確定申告のときに心強い味方になります。燃料費は農業経営のなかでも大きな固定費の一つだからこそ、管理を仕組み化する価値は十分にあります。

経費にできるものを幅広く知りたい方は、農業の経費になるもの完全リストも役立ちます。

軽トラの経費のよくある3つの質問

軽トラを2台持っています。両方とも経費にできますか?

事業で使っていれば、それぞれ使用割合に応じて経費にできます。1台は農業専用、もう1台は私用と兼用、といった場合は、車ごとに割合を分けて計算します。

通勤で使う分は事業割合に入れていい?

自宅と農地の往復のように、農作業に必要な移動は事業用と考えるのが一般的です。一方、まったくの私用の外出は事業割合に含めません。

走行距離をいちいち記録するのは大変です。

毎日でなくても、代表的な期間の記録から年間の割合を見積もる方法もあります。給油の明細やカードの利用記録があると、見積もりの裏づけになります。

まとめ

軽トラの経費で押さえるべきは、次の3点です。

  1. 私用と兼ねる軽トラは、事業で使った割合だけを経費にする
  2. 按分割合は走行距離や使用日数など、説明できる根拠で決める
  3. 車両本体は減価償却で、年数に分けて経費にする

正しく按分すれば、節税しながら税務署にも説明できる、安心な処理ができます。まずは走行距離のメモから始めてみましょう。軽トラは農家にとって毎日使う相棒であり、その費用は積み重なると決して小さくありません。按分を正しく行うだけで、年間で数万円の経費計上につながることもあります。「なんとなく」で済ませず、根拠をもって計上する習慣をつけましょう。

※本記事は一般的な情報提供であり、按分の方法や勘定科目は状況で変わります。具体的な処理は、税務署や税理士に確認することをおすすめします。

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この記事を書いた人

農業|ライター|千葉県山武郡横芝光町でコシヒカリを始めとしたおいしいお米を生産|Word、ドキュメント、WordPressでの記事の執筆|日商簿記2級|FP3級|食品衛生責任者|英検2級

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