「水路の泥上げや農道の草刈り、地域みんなでやっているけど、何か支援はないの?」——農地まわりの共同作業に追われていると、そう感じることはありませんか。そんな地域の共同活動を支えるのが多面的機能支払交付金です。
ただ多面的機能支払交付金には、「農地維持支払」「資源向上支払」と区分が分かれ、単価や要件が複雑で、結局いくらもらえるのか分かりにくいのも事実。私は千葉で米農家を営みながら農業の補助金・税務情報を発信しており、今回も農林水産省の資料を一次情報まで確認して整理しました。
この記事では、令和7年度の単価をふまえ、制度の仕組み・対象・単価・申請の流れ・お金の管理(経理)の注意点までをまとめます。読み終えれば「自分の地域でいくらもらえそうか」「何から始めるか」が見えてきます。
| 📌 この記事でわかること ・多面的機能支払交付金の全体像(2つの支払の違い) ・10aあたりの交付単価(地目別の早見表) ・対象になる組織と申請の流れ ・加算でさらに増える仕組み ・交付金の経理・帳簿づけの注意点 |
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太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
交付金を受けると、出納簿の作成や経費の整理など、事務の負担が増えます。日々の記帳をラクにしておくと、活動組織の会計も自分の農業経営の経理もぐっと楽になります。会計ソフトの選び方は次の記事で解説しています。
多面的機能支払交付金とは|地域の共同活動を支援
結論からいうと、農業者などの組織が取り組む、水路の泥上げ・農道の維持・農地の保全といった地域の共同活動を、面積に応じて支援する国の制度です。担い手の減少で「地域の農地を地域で守る」ことが難しくなるなか、その共同活動を後押しします。平成26年度に始まり、平成27年度に法制化された日本型直接支払の一つです。
支払いは、「農地維持支払」と「資源向上支払」の2つで構成されています。
2つの支払の違いとは|農地維持と資源向上
- 農地維持支払:水路・農道の草刈りや泥上げなど、農地を維持する基礎的な共同活動。農業者だけの組織でも取り組めます。
- 資源向上支払(共同):施設の軽微な補修、景観形成、生態系保全など、地域資源の質を高める活動。農地維持支払とセットが基本です。
- 資源向上支払(長寿命化):水路・農道など施設の補修・更新といった、施設を長持ちさせる活動。
多面的機能支払交付金の単価はいくら?地目別の早見表
交付単価の上限(都府県・10アールあたり・令和8年度)は次のとおりです。組み合わせる活動が増えるほど単価も上がります。
| 活動の区分 | 田 | 畑 | 草地 |
| ①農地維持支払 | 3,000円 | 2,000円 | 250円 |
| ②資源向上支払(共同) | 2,400円 | 1,440円 | 240円 |
| ③資源向上支払(長寿命化) | 4,400円 | 2,000円 | 400円 |
| ①+② | 5,400円 | 3,440円 | 490円 |
| ①+②+③(すべて) | 9,200円 | 5,080円 | 830円 |
※北海道は別単価です。たとえば田1ヘクタールで①+②なら年5万4,000円が目安になります。
注意点として、資源向上支払(共同)を5年以上継続した地区は単価が0.75倍になります。また上限額のため、申請が多いと減額調整される場合があります。
あわせて読みたい|農家が使える補助金20選
多面的機能支払交付金のほかにも、農家が使える補助金は数多くあります。「自分の規模・作目だと、ほかに何が使えるの?」と気になった方は、目的別の一覧で全体像をつかんでおくと選びやすくなります。
対象になる組織と申請のしかた
この交付金は個人ではなく、複数の農業者(必要に応じて地域住民等も)で構成する活動組織で取り組むのが基本です。組織として代表者・規約・専用口座を整え、市町村の認定を受けて活動します。中山間地域等直接支払の集落協定と似ていますが、別制度なので混同しないようにしましょう。
申請の流れ|5つのステップ
対象農地・活動内容・単価のイメージを確認する。
代表者・規約・口座を整え、組織をつくる。
活動計画・事業計画を作成し、市町村の認定を受ける。
水路・農道の維持などの活動を継続して行う。
活動記録をまとめて報告し、交付金を受け取る。
| ⚠️ 注意 活動記録・日報・金銭出納簿の整備が必須です。書類の不備や対象面積の誤りがあると、交付金の返還を求められることがあります。事務作業の体制も最初に決めておきましょう。 |
【見落とし注意】交付金のお金の管理|経理と税務
交付金は活動組織の口座で受け取り、金銭出納簿で使い道を管理する必要があります。何にいくら使ったかの記録が求められるため、こまめな帳簿づけが欠かせません。
また、個人へ配分された分は所得として扱い、確定申告が必要になる場合があります。組織でも個人でも、記帳を整えておくことが、あとあとの安心につながります。
よくある4つの質問(Q&A)
交付金の帳簿づけ・経理をラクにするなら

活動組織の出納簿づけや、自分の農業経営の経理が増えると、手作業ではミスが起きやすくなります。クラウド会計ソフトを使えば、入出金の記帳から集計までを自動化でき、出納簿づくりや決算の負担を大きく減らせます。私も日々の記帳はクラウド会計に任せ、農作業の時間を確保しています。組織の経理も個人の経理も、早めに仕組みを整えておくと安心です。
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まとめ:地域の共同活動を支える心強い制度
多面的機能支払交付金は、水路の泥上げや農道の草刈りといった地域の共同活動を、農地の面積に応じて支える国の制度です。担い手が減るなかでも「地域の農地を地域で守る」取り組みを、無理なく続けられるよう後押ししてくれます。
| 🌾 押さえるべき3つのポイント ①2つの支払(農地維持/資源向上)の組み合わせで単価が決まる ②個人ではなく活動組織で取り組み、5年間継続するのが基本 ③出納簿での管理が必須。個人配分は申告が必要な場合も |
ポイントは大きく3つ。1つ目は、農地維持支払と資源向上支払という2つの支払を組み合わせることで交付単価が決まること。2つ目は、個人ではなく活動組織として取り組み、5年間継続するのが基本だということ。3つ目は、交付金は専用口座で受け取り、金銭出納簿での管理が必須で、個人へ配分された分は確定申告が必要になる場合があることです。事務面の体制づくりも忘れず、必要に応じて会計ソフトでの管理を始めてください。
まずはお住まいの市町村への相談から、第一歩を踏み出してみましょう。
▼出典(一次情報)
農林水産省「多面的機能支払交付金」関係資料(交付単価は令和7年度・都府県)
農林水産省「多面的機能支払交付金のあらまし」(単価・加算の参考)


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