「牛を育てているけど、突然死や病気になったときの経済的な損失が怖い。」
畜産農家からは、「家畜の病気や突然死がいちばん怖い」という話をよく聞きます。とくに乳牛・肉牛は1頭あたりの価格が高く、突然死や廃用になった場合の損失は経営を直撃します。家畜共済はこうした家畜農家固有のリスクをカバーする農業共済の制度です。
この記事では家畜共済の補償内容・加入方法・掛金の目安を詳しく解説します。
– 家畜共済の対象家畜と補償内容
– 死廃補償と疾病傷害補償の違い
– 掛金の目安と国の補助
– 加入手順とNOSAI窓口での手続き方法

太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜)
- 千葉県北東部でお米を生産
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
家畜共済の基本:対象家畜とは?

家畜共済は農業共済の一種で、農業者が飼養する家畜の死亡・廃用・疾病・傷害をカバーする補償制度です。農業共済組合(NOSAI)が運営し、国が掛金の一部を補助します。
家畜共済の対象家畜
| 対象家畜 | 主な用途 |
|---|---|
| 乳牛 | 酪農(牛乳生産) |
| 肉牛(和牛・交雑牛等) | 肉用牛生産 |
| 馬 | 競馬・乗馬等 |
| 豚 | 養豚 |
| 鶏(採卵鶏・ブロイラー) | 採卵・食肉用 |
家畜共済は畜種ごとに加入し、飼養している家畜の全頭または一定数以上を対象とする場合が多いです(義務加入の規定があるケースもある)。
家畜共済の2つの補償:死廃補償と疾病傷害補償
家畜共済の補償は大きく「死廃補償」と「疾病傷害補償」の2種類に分かれています。
死廃補償
死廃補償は、家畜が死亡または廃用(農業利用できなくなる状態)になった場合の損害を補償します。
- 補償の対象: 病気・事故・難産等による家畜の死亡・廃用
- 除外事項: 故意・過失による死亡、農業者の重大な過失等は対象外
- 共済金の計算: 共済価額(家畜の評価額)×死廃共済金割合で計算
| 家畜の種類 | 死廃共済金割合(目安) |
|---|---|
| 乳牛 | 共済価額の80〜90% |
| 肉牛(和牛) | 共済価額の80〜90% |
| 豚 | 共済価額の80% |
疾病傷害補償
疾病傷害補償は、獣医師による診療費(注射・投薬・手術等)の一部を補償します。
- 補償の対象: 疾病(病気)・傷害(ケガ)の治療費
- 補償の内容: 獣医師への診療費の一定割合(60〜80%程度)
- 1件あたりの自己負担: 診療費の一定額は自己負担(免責)あり
- 年間限度額: 家畜・畜種によって設定されている場合あり
疾病傷害補償は「診療報酬の共済」とも言われ、畜産農家が最もよく利用する補償のひとつです。大動物(牛・馬)は1回の治療費が数万〜数十万円に達することもあるため、この補償の重要性は非常に高いです。
家畜共済の掛金と国の補助
家畜共済の掛金は家畜の種類・頭数・共済金額・地域によって異なります。
掛金の目安(2026年度)
| 家畜の種類 | 農業者負担の掛金目安(頭あたり・年額) |
|---|---|
| 乳牛(1頭あたり) | 数千〜2万円程度(評価額・補償レベルによる) |
| 肉牛(1頭あたり) | 数千〜1.5万円程度 |
| 豚(1頭あたり) | 数百〜千円程度 |
| 鶏(100羽あたり) | 数百〜千円程度 |
※掛金は地域のNOSAI・共済金額・過去の事故率によって大きく異なります。
国の補助
家畜共済の国の補助割合は家畜の種類によって異なりますが、農業者負担を軽減するために一定の国庫補助が設けられています。特に乳牛・肉牛の死廃補償については国の補助率が比較的高く設定されています。
家畜共済の加入手順と被害発生時の流れ
家畜共済への加入は最寄りのNOSAI(農業共済組合)窓口を通じて行います。
加入の手順
- NOSAIへの相談: 最寄りのNOSAI窓口で飼養している家畜の種類・頭数・補償内容を相談
- 加入申請書の提出: 対象家畜の頭数・評価額等を記載した申請書を提出
- 家畜の個体確認: 耳標・識別番号等で対象家畜を確認
- 共済金額の設定: 家畜の評価額をもとに共済金額を設定
- 掛金の支払い: 農業者負担分の掛金を支払い加入完了
被害(死亡・廃用・疾病)発生時の流れ
- NOSAIへの連絡:死亡・廃用・発病を確認したらすぐにNOSAIへ連絡
- 家畜共済獣医師の診断:必要に応じてNOSAI指定の獣医師による確認
- 共済金の計算:評価額・補償内容をもとに共済金を計算
- 共済金の支払い:農業者口座に共済金を振り込み
家畜共済と収入保険の関係
家畜共済は収入保険との重複加入が可能です。収入保険で農業収入全体をカバーしながら、家畜共済で個別の家畜リスク(死廃・疾病)を手厚く補償するスタイルが畜産農家には最も安心です。
ただし、家畜共済で死廃・疾病補償を受けた場合、その共済金は農業収入として計上されるため、収入保険の基準収入の計算にも影響します。この点はNOSAIまたは税理士に確認することをおすすめします。
まとめ
家畜共済は乳牛・肉牛・馬・豚・鶏などの家畜農家を守るための農業共済制度です。死廃補償で突然死・廃用のリスクを、疾病傷害補償で診療費の負担を軽減できます。加入はNOSAI窓口で相談できます。収入保険との重複加入も可能で、より手厚いリスク管理が実現できます。
この記事のポイント:
– 対象家畜: 乳牛・肉牛・馬・豚・鶏が対象
– 2種類の補償: 死廃補償(死亡・廃用)と疾病傷害補償(診療費)
– 収入保険との関係: 重複加入が可能・合わせて活用するのが理想的
– 加入手順: NOSAI窓口への相談→申請書提出→掛金支払いの流れ
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関連リンク・参考資料
⚠️ 注意事項: 本記事は令和8年度(2026年度)時点の制度内容をもとに作成していますが、制度の詳細は年度途中で変更される場合があります。最新情報は農林水産省または農業共済組合(NOSAI)の公式サイトでご確認ください。

