【現役農家が解説】新規就農は食べていける?1年目の生活費とお金の備え方

経理業務をする農家

「農業で独立したいけれど、1年目から食べていけるのかが一番不安」——新規就農を考える方の多くが、最初にぶつかる悩みです。

正直に言えば、就農初期は売上が立っても所得(手元に残るお金)は出にくい時期です。作物が収穫・販売できるまで時間がかかり、その間も生活費や経費は出ていくからです。

だからこそ私は、ゼロからの新規就農よりも、引退される農家さんの経営を引き継ぐ「継承就農」をおすすめしています。機械や施設をイチからそろえると、まとまった頭金が必要になる一方、引退農家さんから農地・機械・販路といった資産を譲り受ければ、初期投資を抑えながら低リスクでスタートできます。

とはいえ、どちらの道を選んでも、立ち上がり期のお金の備えは欠かせません。公的な支援金や、就農前の準備資金を活用すれば、最初の数年を乗り切れます。

この記事では、現役の米農家(農業法人代表)の視点で、就農1年目の生活費の目安と、食べていくためのお金の備え方を整理します。

この記事でわかること
・就農1年目に所得が出にくい理由
・1年目の生活費の目安(家族構成別)
・公的支援:経営開始資金(月13.75万円・最長3年)の中身と要件
・就農前にためておくべき準備資金の考え方

就農後のお金の計画は、ファイナンシャルプランナーに無料で相談できます

この記事を書いた人
たち しょうえい

太智昭栄

Shoei Tachi

  • 農業経営者(2022年〜千葉県東部でお米を生産)
  • 日商簿記2級・3級FP技能士取得
  • 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信

目次

就農1年目に“食べていけない”と言われる理由

農業は、種をまいてから収穫・販売までにタイムラグがあります。その間も生活費・種苗・肥料・燃料・機械などの支出は先に出ていくため、最初の年は手元のお金が減りやすいのです。

さらに、就農初期は栽培技術も販路もこれから。売上が安定するまで数年かかることも珍しくありません。だからこそ、立ち上がり期の生活費をどう確保するかが成否を分けます。

1年目の生活費はいくら?目安をつかむ

生活費は地域や家族構成で変わりますが、ざっくりの目安は次のとおりです(住居費を含む概算)。

世帯月の生活費の目安年間の目安
単身約13〜18万円約160〜220万円
夫婦約20〜25万円約240〜300万円
夫婦+子ども約25〜30万円約300〜360万円

※あくまで一般的な目安。これに加えて、就農初期は経費の持ち出しも見込む必要があります。まずは自分の家計で“最低いくら必要か”を書き出してみましょう。

経営開始資金(最長3年の所得確保)を検討しよう

新規就農者向けの代表的な支援が、新規就農者育成総合対策の「経営開始資金」(旧・農業次世代人材投資資金)。就農直後の不安定な時期の生活を下支えする交付金です。

項目内容
交付額月13.75万円(年165万円)
交付期間最長3年間
年齢要件独立・自営就農時に原則49歳以下
所得要件前年の世帯全体の所得が原則600万円以下
その他認定新規就農者になる等の要件。常勤雇用との重複は不可

このほか、就農前の研修期間を支える就農準備資金(研修中の生活費支援)もあります。要件や募集は年度・自治体で異なるため、就農予定地の窓口で最新情報を確認しましょう。

「就農準備資金」で月13.75万円を受け取る方法

「経営開始資金」の要件・申請手順を現役米農家が解説

就農前にためておくべき準備資金

パソコンと電卓

支援金があっても、それだけに頼るのは危険です。就農前にまとまった準備資金を用意しておくと、立ち上がりの数年に余裕が生まれます。

  • 生活防衛資金:最低でも生活費の半年〜1年分(できれば多め)
  • 初期投資の自己資金:機械・施設・種苗などの一部を自己資金で(融資と組み合わせ)
  • “食べる”ためのお金と“事業”のお金を分けて準備する

収入が不安定な農家の家計見直し|お金を貯めるための3ステップ

よくある2つの質問(Q&A)

貯金が少なくても就農できますか?

支援金や融資を活用すれば不可能ではありませんが、立ち上がり期の生活費を確保できるかが分かれ目です。最低でも数か月分の生活費と、家族の理解・収入源を整えてから踏み出すと安全です。

配偶者の収入はあてにしていいですか?

就農初期は配偶者の安定収入が大きな支えになります。世帯全体でお金の計画を立て、支援金の所得要件(世帯所得600万円以下など)も踏まえて設計しましょう。

就農後の生活費、いくら備えれば足りる?

支援金・自己資金・配偶者の収入をどう組み合わせれば、立ち上がりの数年を乗り切れるか——就農前のお金の計画は、早めに立てるほど安心です。

お金に詳しいファイナンシャルプランナーの無料相談なら、あなたの家計と就農計画をもとに、必要な準備資金や生活費の見通しを一緒に整理できます。家計・老後・保険まで横断して無料で相談できるので、就農前の不安を棚卸ししてみてください。

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まとめ|新規就農は売り上げが出にくい

就農1年目は売上が立っても所得が出にくい時期。生活費や経費は先に出ていくため、立ち上がりの数年をどう乗り切るかが大切です。公的支援の経営開始資金(月13.75万円・最長3年)や就農準備資金を活用しつつ、就農前に生活防衛資金(半年〜1年分以上)を用意しておくと安心です。

“食べるお金”と“事業のお金”を分けて準備するのがコツ。就農前のお金の計画は、農家のお金に詳しいFPの無料相談で早めに立てておきましょう。

出典・参考
・農林水産省「就農準備資金・経営開始資金」(新規就農者育成総合対策)(https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html、2026年7月9日時点)
・農林水産省「令和8年度 就農準備資金・経営開始資金要綱」(経営開始資金の交付額・要件)(https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/attach/pdf/roudou-162.pdf、2026年7月9日時点)
・総務省「家計調査」(生活費の一般的な目安)(「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf、2026年7月9日時点)

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の金融商品・制度への加入を推奨するものではありません。掛金上限・税制・各制度の要件は改正される場合があります。最新の内容は各公式サイトでご確認のうえ、ご自身の状況に応じて専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

農業|ライター|千葉県山武郡横芝光町でコシヒカリを始めとしたおいしいお米を生産|Word、ドキュメント、WordPressでの記事の執筆|日商簿記2級|FP3級|食品衛生責任者|英検2級

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