【2026年最新】農地を持てる法人とは|農地所有適格法人の要件を解説

畑を眺める男性

農業を法人化したいと考えたとき、多くの人が最初に直面するのが「法人で農地を所有できるのか?」という壁です。実は、どんな会社でも農地を持てるわけではありません。

法人が農地を所有・取得するには、農地所有適格法人(旧・農業生産法人)としての4つの要件を満たす必要があります。しかもこの要件は設立時にクリアすれば終わりではなく、その後も満たし続けなければならないため、法人設計の段階での理解が欠かせません。

この記事では、現役の米農家であり農業法人の代表の視点から、農地所有適格法人の4つの要件と、農地を持てる法人のつくり方をわかりやすく整理します。法人化を検討している方が、つまずかずに一歩を踏み出せる内容です。

📌 この記事でわかること
・農地所有適格法人とは(農地を所有・取得できる法人)
・4つの要件(法人形態・事業・議決権・役員)の中身
・農地を借りるだけの一般法人との違い
・農地を持てる法人を作る流れ

法人化の進め方は税理士法人の法人化無料相談(KSP)へ

この記事を書いた人
たち しょうえい

太智昭栄

Shoei Tachi

  • 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
  • 日商簿記2級・3級FP技能士取得
  • 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信

目次

農地所有適格法人とは?

夕暮れ時の農場で働く農夫

農地所有適格法人とは、農地法の要件を満たし、農地を所有(取得)できる法人のこと。2016年(平成28年)4月施行の改正農地法により、それまでの「農業生産法人」から名称が変わりました。

農地は誰でも自由に取得できる財産ではなく、農地法で取得者が制限されています。そして法人の場合、農地所有適格法人の要件(農地法第2条第3項)を満たさないと農地を所有することはできません。

TACHIFARM代表

借りるだけなら別の方法もありますよ(後述)

農地所有適格法人の4つの要件

要件は次の4つ。すべてを満たし、取得後も継続して満たし続ける必要があります。

要件内容
①法人形態株式会社(公開会社でない=株式譲渡制限のあるもの)、農事組合法人、合名・合資・合同会社のいずれか
②事業主たる事業が農業(農産物の加工・販売等の関連事業を含む)で、これらの売上高が法人全体の売上高の過半を占めること
③議決権農業関係者の議決権が総議決権の過半(持分会社は社員の過半)を占めること
④役員役員の過半が農業に常時従事する構成員であり、かつ役員または重要な使用人の1人以上が農作業に従事すること

① 法人形態要件

認められるのは、株式会社(株式譲渡制限のあるもの)・農事組合法人・合名会社・合資会社・合同会社。上場会社のような公開会社は対象外です。

② 事業要件

主たる事業が農業であることが必要で、農産物の加工・販売などの関連事業を含めて、これらの売上高が法人全体の売上高の半分以上を占める必要があります。

③ 構成員・議決権要件

農業関係者(その法人に農地を提供した人、農作業の委託者、法人の農業に常時従事する者など)の議決権が、総議決権の半分以上を占める必要があります。出資の受け入れを考える場合は、この議決権バランスに注意が必要です。

食品事業者等と連携する「農業経営発展計画」の認定を受けた場合など、議決権要件に一定の特例が設けられている制度もあります(農林水産省)。出資設計を検討する際は、特例の活用可否も含めて専門家に確認するとよいでしょう。

④ 役員要件

役員(株式会社は取締役、農事組合法人は理事)の半分以上が、法人の農業に常時従事する構成員(原則年150日以上)であること。加えて、役員または農業に関する権限と責任を有する重要な使用人のうち1人以上が、法人の農作業に原則年60日以上従事する必要があります。

⚠️ 取得後も“ずっと”満たす必要がある
4要件は設立・農地取得のときだけでなく、その後も継続して満たし続ける必要があります。役員構成や事業構成が変わって要件を外れると農地を手放さなければならない可能性も。また、農地所有適格法人には、毎事業年度の終了後3か月以内に、農地の所在する市町村の農業委員会へ事業状況等を報告する義務があります(報告を怠ると30万円以下の過料の対象)。出資・役員の設計は慎重に行いましょう。

農地を“借りるだけ”の一般法人との違い

実は、農地を所有せず「借りて」農業をするなら、農地所有適格法人でない一般の法人でも可能です(リース方式)。次の要件などを満たせば、一般法人が農地を借りて参入できます。

  • 借りた農地を適正に利用しない場合に貸借契約を解除する旨の条件が付されていること(解除条件付き貸借)
  • 地域における適切な役割分担のもとに、継続的かつ安定的に農業経営を行うこと
  • 業務を執行する役員または重要な使用人のうち1人以上が、法人の農業に常時従事すること(農作業に限らず、経営・企画等でも可)

「所有まで必要か、借りるだけで足りるか」で取るべき形が変わります。自分の経営方針に合わせて選びましょう。

【農家は法人化すべき?】メリット・デメリットと判断基準を現役農家が解説

農地を持てる法人を作る4つの流れ

おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 法人の設計:法人形態・出資者(議決権)・役員構成を、4要件を満たすように決める
  2. 法人設立:定款作成・登記(株式会社・合同会社・農事組合法人など)
  3. 農地取得の許可:農業委員会へ農地法3条の許可申請(適格法人の要件確認を含む)
  4. 継続して要件を維持:毎事業年度の状況報告など、要件の継続を管理

【農業法人の作り方】設立のための5つの手順を現役農家が解説

よくある2つの質問(Q&A)

家族経営でも農地所有適格法人になれますか?

なれます。家族中心の小規模法人でも、4要件(特に議決権の過半と役員の農業従事)を満たせばOK。むしろ家族経営は農業関係者が中心なので、要件を満たしやすい傾向があります。

出資を受けたいのですが、要件に影響しますか?

影響します。農業関係者以外からの出資が増えて農業関係者の議決権が過半数を割ると、要件を満たせなくなります。議決権のバランス設計が重要なので、出資の受け入れは専門家に相談しながら進めましょう。なお、一定の場合には議決権要件の特例が使えることもあります。

農地を持てる法人の設計は、専門家の力を借りて

オフィスでのフレンドリーな会話

農地所有適格法人は、議決権や役員構成の設計を誤ると要件を満たせず、農地を取得できません。設立後も維持が必要なため、最初の設計が肝心です。税理士法人の法人化無料相談(KSP)なら、要件を満たす設計や手続きの進め方を相談できます。

TACHIFARM代表

法人化を本気で考え始めたら、早めに相談しておくと安心です。

法人化の進め方は税理士法人の法人化無料相談(KSP)へ

まとめ

法人で農地を所有するには、農地所有適格法人(旧・農業生産法人)の4要件を満たす必要があります。

  1. 法人形態
  2. 農業が主たる事業(関連事業を含めた売上が半分以上)
  3. 農業関係者の議決権が過半数
  4. 役員の過半数が農業に常時従事+1人以上が農作業従事

要件は取得後も継続して満たす必要があり、毎事業年度の報告義務もあるため、出資・役員の設計が重要。農地を所有せず「借りるだけ」なら、一般法人でもリース方式で参入できます。設計を誤ると農地を取得できないため、法人化は早めに専門家へ。要件を満たす設計はKSPの法人化無料相談の活用が効率的です。

出典・参考

  • 農林水産省「法人の農地取得」https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/hozin_nouchi.html
  • 農林水産省「企業等の農業参入について」https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/kigyou_sannyu.html
  • 農地法 第2条第3項(農地所有適格法人の要件)/農地法第3条(農地取得の許可)
  • 各自治体・農業委員会「農地所有適格法人制度の手引き」(2026年6月閲覧)

※本記事は一般的な情報提供であり、特定のサービス・制度への加入を推奨するものではありません。農地法や各制度の要件は改正される場合があります。最新の内容は農林水産省等の公式サイトでご確認のうえ、個別の判断は農業委員会・税理士等の専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

農業|ライター|千葉県山武郡横芝光町でコシヒカリを始めとしたおいしいお米を生産|Word、ドキュメント、WordPressでの記事の執筆|日商簿記2級|FP3級|食品衛生責任者|英検2級

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