新しいトラクターやコンバインを導入するとき、購入かリースで迷う方は多いはずです。同じ機械でも、選び方しだいで手元に残るお金や税金の出方が変わってきます。「初期費用を抑えたいからリース」「長く使うから購入」と、なんとなくのイメージで決めてしまうと、あとで「こっちのほうが得だった」と後悔しかねません。
この記事では、現役の米農家として、農機具のリースと購入を税務・コストの両面から比較し、損しない選び方を解説します。
- リースと購入の基本的な違い
- 税務処理の違い(経費の出方)
- それぞれのメリット・デメリット
- どっちが向いているかの判断軸
農業機械という固定資産やリース代金の経理は、会計ソフトで自動化するのが一番の近道です。銀行口座やクレジットカードと連携して仕訳を自動でできるマネーフォワード クラウド会計なら、農作業の合間でも経営の数字をリアルタイムで把握できます。

太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
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リースと購入の4つの大きな違い

まず、購入は、お金を払って自分のものにすることです。一方のリースは、リース会社が買った機械を、毎月の費用を払って借りる形になります。
大きな違いは「所有権」です。購入なら機械は自分のもので、いつでも売却や買い替えができます。リースは契約期間中はリース会社の所有物で、原則として途中解約はできません。この違いが、お金の出方や税金の扱いにそのまま影響します。
| 項目 | 購入 | リース |
|---|---|---|
| 所有権 | 自分のもの | リース会社のもの |
| 初期費用 | 高額(一括または融資) | 不要〜少額 |
| 毎月の負担 | ローンなら返済 | リース料 |
| 途中解約 | 自由(売却可) | 原則不可 |
税務処理の違い|経費の出方が変わる
リースと購入で、もっとも差が出るのが税金の処理です。ここを理解すると、判断がぐっとしやすくなります。
購入の場合は「減価償却」
機械を購入すると、その代金は買った年に全額を経費にできるわけではないです。減価償却といって、法定耐用年数に応じて、数年に分けて少しずつ経費にしていきます。トラクターなどの農業用機械は、税法上の耐用年数が一律7年と決められています。
つまり、まとまったお金を払っても、経費になるのは毎年少しずつ。さらに、固定資産として償却資産税の申告が必要になる場合、事務手続きはやや煩雑です。
リースの場合は「リース料」
リースなら、毎月支払うリース料をそのまま経費にできます(オペレーティングリースの場合)。減価償却の複雑な計算が不要で、経理がシンプルになるのが大きな利点です。リース料は全額が経費として認められるため、毎年の費用が一定で管理しやすくなります。
ただし、契約の形態によっては資産計上が必要なケース(ファイナンスリース)もあります。契約前に、どちらの扱いになるかを確認しておきましょう。
農機具の「リース」と「購入」比較表
◎=メリット(有利)/△=デメリット(注意)。自分の経営スタイルに合わせて選ぶのがポイントです。
| 観点 | リース | 購入 |
|---|---|---|
| 初期費用 | ◎ まとまった初期費用が不要 | △ 数百万円〜の出費になることもあり、資金繰りに大きく響く |
| 総額(長く使う場合) | △ 手数料・金利が含まれるため、長く使うほど購入より割高になりやすい | ◎ 一度買えば固定の支払いがなく、長く使うほど割安になる |
| 経理・事務の手間 | ◎ リース料を経費にでき、経理がシンプル | △ 減価償却や償却資産税の事務負担がある |
| メンテナンス・故障 | ◎ メンテナンスがリース料に含まれるプランもあり、急な故障の出費に悩まされにくい | △ 故障時の修理費は自分持ちになる |
| 所有権・解約 | △ 契約期間中は原則解約できず、自分の所有物にもならない | ◎ 自分の所有物。改造・買い替え・売却が自由 |
| 使い終わった後 | △ 手元には何も残らない | ◎ 中古市場で売れば、いくらか回収できることもある |
長く使うものは購入、初期費用を抑えて身軽に使いたいならリースが向いています。購入資金を融資でまかなう場合は、農機具補助金とローンの組み合わせ活用法も参考になります。
リースか購入どっちがいい?3つの判断軸

リースか購入か、どちらが得かは使い方しだいで変わってきますが、次の3つの軸で考えると整理しやすくなります。
- 使用期間:長く使うなら購入、短期間・更新が多いならリース
- 資金の余裕:手元資金を温存したいならリース、余裕があるなら購入
- 事務の手間:経理をシンプルにしたいならリース、節税を細かく効かせたいなら購入
米農家の主力機械であるトラクターや田植機のように、何年も使い込むものは購入が向きやすい傾向があります。一方、最新のスマート農機を試したい、数年で更新したいといった場合は、リースの身軽さが生きてきます。
総額のイメージをつかもう
考え方を整理するために、ざっくりした例で比べてみます。あくまでイメージですが、同じ機械でも「総額」と「お金の出方」が違うことが分かります。
| 観点 | 購入 | リース |
|---|---|---|
| 最初の支払い | 大きい(一括または頭金) | 少ない |
| 期間中の総支払額 | 本体価格+金利(融資の場合) | リース料・手数料 |
| 使い終わった後 | 手元に残る/売却可 | 何も残らない |
| 長期利用での割安感 | 高い | 低い |
長く使うほど購入が割安になりやすい一方、リースは「身軽さ」と「資金温存」にお金を払っている、と考えると分かりやすいです。どちらの価値を取るかが選択の分かれ目になります。
補助金との組み合わせも検討する
見落とされがちですが、機械の導入には補助金が使える場合があります。補助金で購入費の一部をまかなえば、購入のハードルは大きく下がります。リースに対応した補助制度もあります。
実際新しい機械を導入するときは、補助金・リース・購入をセットで比較するのが賢い進め方です。導入できる補助金は、新規就農の機械導入補助金の要件を徹底解説で解説しています。
なお、補助金には申請の期限や採択の枠があり、必ず受けられるとは限りません。「補助金がもらえる前提」で高額な機械を選ぶと、不採択だったときに資金繰りが苦しくなります。補助金は「もらえたら導入を後押しするもの」と位置づけ、もらえなくても無理のない方法を選んでおくのが安全です。
借金を負ってまで購入するな|現金を守るリース活用術

私の考えでは、お試しで使う機械や、年に1〜2回しか使わない機械の導入にはリースが向いています。また、購入のために負債(借金)を背負わなければならない状況なら、なおさらリースをおすすめします。売却益をあてにして、わざわざ借金で機械を買うのは、ナンセンスです。
それよりも、いま手元にある現金を大切にして、次の一手に回せるようにするほうが堅実。借金を持たず、リースという費用でやりくりすれば、資金繰りに余裕が生まれます。元を取れるかどうかを毎日気にしながら経営できるほど、事業は甘くありません。
さらに、負債の返済に脳のリソースを割くのはもったいない。その大切な集中力は、目の前の作業や経営の改善にこそ注ぐべきだと考えています。事業にしっかり全力を注ぐためにも、まずは気軽にリースから始めてみてもよいでしょう。
会計ソフトで経理を正しく把握する

リースか購入かを正しく判断するには、自分の経営の数字が見えていることが前提です。今いくら資金があり、年間どれだけの利益が出ているか。これが分からないと、どちらが負担なく導入できるか判断できません。
マネーフォワードクラウドで経営の数字を見える化すると、機械導入の判断や、購入後の減価償却・リース料の管理もまとめて効率化できます。法人化や規模拡大を見据えるほど、数字を一元管理できる効果は大きくなるので、早めに導入しておきましょう。
減価償却の詳しい仕組みは、農機具の減価償却|耐用年数と計算方法・節税のやり方も参考になります。
農機具のリース・購入でのよくある3つの質問
【無料相談】農機具への投資を機に法人化を考えよう
設備投資の規模が大きいなら、法人化も選択肢です。法人化が自分にとって得かは、売上・所得・家族構成で変わります。経営サポートプラスアルファの60分無料相談で「自分の場合」の法人化メリットを試算すると、社会保険まで含めた損得を数字で確認できます。設立代行費用は実質0円、最短1営業日での設立にも対応。
まとめ:リースvs購入は「使用期間・資金・手間」で選ぶ
農機具のリースと購入で押さえるべきは、次の3点です。
- 税務:購入は減価償却、リースはリース料を経費にできる
- コスト:長く使うなら購入が割安、初期費用を抑えるならリース
- 判断軸:使用期間・資金の余裕・事務の手間で総合的に決める
どちらが正解ということはなく、自分の経営スタイルと資金状況に合わせて選ぶことが、損しない導入につながります。迷ったときは、「この機械を何年使うか」「その間、資金にどれだけ余裕があるか」をまず書き出してみてください。それだけで、選ぶべき方向がぐっと見えてきます。
大きな買い物だからこそ、勢いで決めず、数字とライフプランの両面から比べることが、後悔しない選択につながります。なお本記事は一般的な情報提供であり、税務処理は契約内容や経営状況で変わります。具体的な判断は、税理士やリース会社に確認することをおすすめします。
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