※当記事はPRを含みます。
トラクターや田植え機——数百万円をかけて買った農機、その経費計上が正しくできているか不安ではありませんか。農機具は高額なだけに、減価償却を正しく理解するだけで税負担が大きく変わります。
この記事では、農業法人代表の私が、農機具の減価償却の仕組みから耐用年数・計算方法・節税のコツまで完全に解説します。
shoei「難しそう」と感じていた方も、この記事を読めば自分で計算できるようになります。
- 減価償却の基本的な仕組み
- 主要農機具の法定耐用年数一覧
- 定額法・定率法の計算方法と具体例
- 中古農機具の耐用年数の計算方法
- 少額減価償却資産の特例(30万円未満)
- クラウド会計ソフトの活用事例


太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
減価償却とは?農家が知るべき基本
減価償却の仕組み
農機具や農業設備は、購入した年に全額を経費にするのではなく、使用できる年数(耐用年数)に分けて少しずつ経費計上します。これが「減価償却」です。
たとえば100万円のトラクターを購入した場合、その年に100万円全額を経費にするのではなく、耐用年数(7年)に分けて毎年約14万円ずつ経費計上していきます。
減価償却の対象になる農業資産
以下の条件をどちらも満たす資産が対象です。
- 使用可能期間が1年以上のもの
- 取得価額が10万円以上のもの
農機具の耐用年数一覧【2026年最新】
トラクター・コンバイン・田植機などの農業用機械の法定耐用年数は、国税庁の耐用年数表で7年と定められています。これは税務上の基準で、実際に使える年数とは別ものです。10年以上使えるトラクターでも、税務上は7年で償却が進みます。農機具以外の主な資産の耐用年数は、構造によって次のように変わります。
| 資産の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| 農業用機械(トラクター・コンバイン・田植機など) | 7年 |
| 農業用倉庫(木造) | 15年 |
| 農業用倉庫(金属造) | 17年/24年/31年(骨格材の厚みで変わる) |
| 農業用倉庫(鉄筋コンクリート造) | 38年 |
| ビニールハウス(構築物・金属造) | 14年 |
| ビニールハウス(構築物・木造) | 5年 |
| ビニールハウス(構築物・その他の骨組み) | 8年 |
| ビニールハウス(器具備品・金属製) | 10年 |
ビニールハウスは、骨組みの材質や「構築物か器具備品か」の判断で年数が大きく変わります。



判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認すると安心です。
減価償却費の計算方法
定額法の計算式と具体例
毎年同じ金額を経費計上する、シンプルな方法です。
(購入金額)
償却率
(年額)
【実例】農業用ドローン298万円の減価償却を公開
実際に弊社が2025年3月に購入した農業用ドローンの仕訳と固定資産台帳ががこちらです。




弊社は5月決算なので、3月31日に購入した機械装置の今期の計上額は、3ヶ月分です。また、仕訳の3,286,719円は、機械装置以外の付属品も含まれています。機械装置として資産計上し、耐用年数は7年。



これらもマネーフォワードクラウド会計なら固定資産台帳に登録するだけで毎年の償却額が自動計算されます。
少額減価償却資産の特例(30万円未満)
青色申告をしている個人農家・農業法人は「少額減価償却資産の特例」が使えます。30万円未満の農機具や備品は、購入した年に全額を経費計上できます。
年間の合計上限は300万円です。農業用の小型機械・工具・備品を購入する際は積極的に活用してください。



青色申告への移行は節税面でも大きなメリットがあります。
少額減価償却資産の特例は、年間300万円まで使えます。この300万円を現金で払うか、事業用カードで払うかで、手元に残るお金が変わります。
仮に還元率1%のカードなら、300万円で3万円分のポイント。しかも即時経費化の効果はそのままです。支払いが増えるわけではなく、同じ買い物の「払い方」を変えるだけです。
節税のポイント3選
①購入時期を年内に調整する
減価償却費は購入月から計算します。12月に購入しても1ヶ月分しか計上できませんが、翌年からは12ヶ月分計上できます。また、年末近くに購入することで、その年の所得を少し圧縮できます。大型農機具の購入予定がある場合は、年末に合わせることも一つの戦略です。
節税のために12月に大型農機を買う——戦略としては正しい。ただし、支払いも同じ12月に来ます。年末は他の経費の支払いも重なる時期で、ここで資金がショートしては本末転倒です。
カードで払えば、引き落としは翌月以降。請求書での支払いなら、カード払いに切り替えて最大60日先延ばしできます。減価償却も少額特例も「取得して事業の用に供した」時点で適用されるため、支払いを翌年に回しても、今年の経費計上には影響しません。
つまり「経費は今年、支払いは来年」という形が作れます。
②中古農機具で耐用年数を短縮する
前述の通り、中古農機具は耐用年数が短くなります。同じ100万円の農機具でも、新品(耐用年数7年)より中古4年落ち(耐用年数3年)の方が早く経費化でき、節税効果が高まります。
③少額減価償却資産の特例を最大活用する
30万円未満の農機具や備品はその年に全額経費計上できます。年間上限の300万円まで活用できるため、農機具の更新・備品の購入はこの特例を意識して計画しましょう。
節税に活かせる特例|少額・一括償却資産を使い分ける
金繰りと節税を両立できます。
30万円未満の農機具は一括で経費にできる特例
青色申告をしている個人事業主・中小企業者は、取得価額30万円未満の資産を、買った年に全額経費にできます。これを「少額減価償却資産の特例」といい、年間合計300万円まで使えます。
たとえば次のようなケースが対象です。
- 20万円の動力管理機 → その年に全額を経費化
- 25万円の小型機材 → その年に全額を経費化
収益が多かった年に30万円未満の農機具をまとめて買うと、課税所得を効果的に圧縮できます。ただし注意点が2つあります。
- この特例は青色申告者限定です。白色申告では使えません。
- 取得価額が一定額以上の資産は、別途償却資産税(固定資産税)の対象になる場合があります。
この特例には適用期限があり、これまで数年ごとに延長されてきました。最新の適用期限は必ず国税庁No.5408で確認してください。
10万円・20万円のラインでの処理方法
30万円未満より小さい農機具は、さらにシンプルに処理できます。金額のラインで3つに分かれます。
| 取得価額 | 処理方法 | 対象者 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費などで全額をその年の経費に | だれでも |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産として3年で均等に経費化 | だれでも |
| 30万円未満 | 少額減価償却資産の特例で全額経費化(年300万円まで) | 青色申告者 |
10万円以上20万円未満を「一括償却資産」にすると、取得価額の3分の1ずつを3年に分けて経費にします。



青色申告でなくても使える点がメリットです。自分の申告区分と金額に合わせて選びましょう。
農機具の購入費用を補助金・ローンと組み合わせて最小化する方法
クラウド会計ソフトで減価償却を自動化する


減価償却の計算は毎年発生します。手計算や表計算ソフトでは入力ミスのリスクがあり、毎年同じ作業を繰り返す手間もかかります。クラウド会計ソフトを使えば、農機具を登録しておくだけで減価償却費を自動処理してくれます。
固定資産台帳への登録も、明細の自動取り込みも、事業用のカードや口座を連携して初めて力を発揮します。プライベートと混ざった口座のままでは、結局あとから仕分ける手作業が残ります。
まとめ
農機具の減価償却は、農業経営の節税において非常に重要な知識です。この記事の要点をまとめます。
- 農機具(トラクター・田植え機・コンバインなど)の法定耐用年数は原則7年
- 中古農機具は耐用年数を短縮でき、早期に経費化できる
- 個人農家は定額法が原則で、取得価額×0.143で年間減価償却費を計算する
- 30万円未満の農機具は少額減価償却資産の特例で全額即時経費計上できる(青色申告者のみ)
- クラウド会計ソフトを使えば計算が自動化され、確定申告の手間が大幅に削減できる
減価償却は「買った後」の話です。でも税負担と資金繰りを本当にラクにするなら、「買う前」の段取りも大事です。
農機具の購入を計画している方は、ぜひ今のうちにマネーフォワードクラウドを導入して、減価償却の管理をスムーズに始めてください。










コメント