「収入保険や農業共済の掛金は経費になるの?補填金を受け取ったら確定申告でどう処理すればいい?」
農業の仕事をしながら、領収書の整理や帳簿づけ、さらに「掛金や補填金を経費にできるの?」という判断まで自分でこなすのは、農家さんにとってとても大変なことです。
「掛金って経費になるの?」「補填金はどう申告すればいいの?」「農業経営基盤強化準備金制度って何に使えるの?」——こういった疑問を自分だけで解決しようとすると、調べるだけでも時間がどんどんなくなってしまいます。
この記事では、農業保険の確定申告と経費計上のやり方をわかりやすく説明していきます。
– 農業保険の掛金の確定申告での取り扱い(必要経費の計上方法)
– 収入保険・農業共済の補填金・共済金の申告方法
– 農業経営基盤強化準備金制度の活用方法
– 青色申告での帳簿記入の実践的なポイント

太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
農業保険の掛金の確定申告:必要経費として計上する

農業保険の掛金(保険料・共済掛金)は、農業所得の計算において必要経費として計上できます。これにより農業所得が減少し、所得税・住民税の節税効果があります。
経費計上できる農業保険の掛金
| 保険の種類 | 確定申告での取り扱い |
|---|---|
| 収入保険(保険方式の保険料) | 農業所得の必要経費として計上 |
| 収入保険(積立方式の積立金) | 積立時は必要経費・取り崩し時は農業収入 |
| 農業共済の掛金(農作物・果樹等) | 農業所得の必要経費として計上 |
| 施設共済・農機具共済の掛金 | 農業所得の必要経費として計上 |
| 農業者賠償責任保険の保険料 | 農業所得の必要経費として計上 |
帳簿への記入方法
農業保険の掛金を必要経費として計上するには、青色申告の帳簿に正確に記録することが必要です。仕訳の例は以下のとおりです。
| 取引内容 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 農作物共済の掛金30,000円を現金で支払い | 保険料30,000円 | 現金 30,000円 |
| 収入保険の保険料50,000円を口座振替 | 保険料 50,000円 | 普通預金 50,000円 |
TACHIFARM代表勘定科目は「保険料」として記入します。
収入保険・農業共済の補填金の確定申告


農業保険から補填金・共済金を受け取った場合、その金額は農業収入として申告する必要があります。
補填金・共済金の申告方法
| 保険の種類 | 受取金の申告区分 |
|---|---|
| 収入保険(保険方式の補填金) | 農業収入(雑収入)として申告 |
| 収入保険(積立方式の取り崩し) | 農業収入として申告 |
| 農作物共済・果樹共済等の共済金 | 農業収入(共済金)として申告 |
| 施設共済の共済金 | 農業収入(または事業外収入)として申告 |
| 農業機械共済の共済金 | 農業収入(または固定資産の修繕費との相殺) |
施設共済・農機具共済の共済金の処理
施設(ハウス)や農機具が損壊して共済金を受け取った場合、共済金は一旦「雑収入(共済金収入)」として計上し、修繕費や取得費を別仕訳で処理するのが実務・税務上の正しい方法です。
修繕で元通りにした場合
共済金と修繕費は相殺せず、それぞれ別々に記帳します。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 共済金を受け取ったとき | 現金預金 800,000円 | 雑収入(共済金)800,000円 |
| 修繕費を支払ったとき | 修繕費 600,000円 | 現金預金 600,000円 |
共済金が修繕費を上回った差額(この例では20万円)は、課税対象の収入となります。なお、共済金と修繕費を相殺して純額のみ記帳する方法は、税務調査で取引の実態が見えにくくなるため推奨されません。
新品に買い替えた場合
旧機械の除却・新品の取得・共済金の受領を、それぞれ独立した仕訳で処理します。
| 取引内容 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 旧農機具の除却 | 除却損 300,000円 | 農機具(旧)300,000円 |
| 新品農機具の取得 | 農機具(新)2,000,000円 | 現金預金 2,000,000円 |
| 共済金の受領 | 現金預金 500,000円 | 雑収入(共済金)500,000円 |
旧機械の除却損は損金、新品農機具は資産として計上し減価償却で処理します。共済金はあくまで収入として別に計上します。



この処理は複雑なため、税理士に相談することをおすすめします。
農業経営基盤強化準備金制度の活用
農業経営基盤強化準備金制度は、対象農業者が経営所得安定対策等の交付金を財源として準備金を積み立てた場合に、その金額を農業所得から損金算入(控除)できる制度です。収入保険の積立方式とは全く別の制度です。
制度の概要
- 積立時: 農業所得から準備金額を控除→所得税・住民税の節税
- 財源: 経営所得安定対策等の交付金(収入保険の積立金とは無関係)
- 取り崩し時: 農業用資産の取得等に使用した場合は収入から除外できる
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 積立上限 | 経営所得安定対策等の交付金の交付額の範囲内(かつ農業所得を超えない額) |
| 控除対象 | 積立額をその年の農業所得から控除 |
| 活用目的 | 農業機械の購入・施設の整備等 |
| 対象者 | 認定農業者・認定新規就農者(地域計画等に位置付けられた者) |
確定申告の実践的なポイント
農業保険に関連する確定申告のポイントをまとめます。
青色申告決算書への記載
農業所得の確定申告は「農業所得用の青色申告決算書」に記載します。農業収入・必要経費を正確に記録することが重要です。
- 農業収入の欄: 農産物の販売収入+収入保険・農業共済からの補填金・共済金
- 必要経費の欄: 農業保険の掛金(農業共済掛金・収入保険保険料)を記入
領収書・振込通知書の保管
農業保険の掛金の支払い証明(領収書・口座振替明細)と補填金・共済金の受取通知書は確定申告のための証拠書類として5〜7年間保管しましょう。
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まとめ
農業保険の確定申告では「掛金は必要経費」「受取補填金・共済金は農業収入」として申告することが基本です。農業経営基盤強化準備金制度を活用することで節税効果を高めることができます。
記帳・申告はクラウド会計ソフトを活用すると大幅に効率化できます。
– 掛金の申告: 農業共済掛金・収入保険保険料は農業所得の必要経費として計上
– 補填金の申告: 受け取った補填金・共済金は農業収入として申告
– 農業経営基盤強化準備金: 積立額を農業所得から控除できる節税制度
– 記帳の重要性: 正確な帳簿が確定申告の基礎
関連リンク・参考資料
⚠️ 注意事項: 本記事は令和8年度(2026年度)時点の制度内容をもとに作成していますが、税務上の取り扱いは個人の状況によって異なります。詳細は税理士または最寄りの税務署にご相談ください。制度の詳細は年度途中で変更される場合があります。









