「確定申告の時期になると、領収書の山に頭を抱える…」
農業経営をしていると、そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
種苗費・肥料費・農薬費・機械の減価償却…。農業特有の勘定科目は数多く、補助金や助成金の管理まで加えると、経理作業は年々複雑になります。私自身、農業法人の代表として経理を行う中で、会計ソフト選びの大切さを痛感してきました。
この記事ではTACHIFARM代表で農業歴4年の私が農家におすすめの会計ソフトについて解説します。
- 農家の経理が難しい理由と会計ソフト導入のメリット
- 農家が会計ソフトを選ぶ3つの基準
- 法人・個人別おすすめ会計ソフト5選と比較表
- 導入後の経理フロー実例
農家の経理が難しい理由と会計ソフト導入のメリット
農業簿記・青色申告の特殊性
農業の帳簿は「一般の商売の帳簿」とは別物です。
一般的な事業では「売上」「仕入」「給与」で帳簿がシンプルにまとまります。しかし農業では、農業特有の勘定科目が必要です。農機具費・修繕費(トラクター・コンバインなど)、水利費・賦課金(農業用水の使用料・土地改良区への賦課金)などが代表例です。
農業向けの勘定科目がなく、自分で科目を追加するのに何時間もかかり、確定申告のときに農業所得用の青色申告決算書に自動変換されず、税理士に依頼するたびに追加費用がかかる人も少なくありません。
しかし、農業に特化した会計ソフトなら、最初から農業簿記の勘定科目が設定されており、農業所得用の決算書も自動作成できます。
補助金・助成金の管理も一元化できる
農業経営の収入は「米の販売代金」だけではありません。
農業には国・県・市町村からさまざまな補助金・助成金があります。水田活用直接支払交付金、農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)、農業経営基盤強化準備金の積立など、種類は多岐にわたります。これらは課税・非課税の区別も必要で、申告を間違えると税務上のトラブルにつながります。
会計ソフトで補助金の入出金を記録しておけば、どの補助金がいつ入金されたかが一目でわかり、確定申告の際にも正確な処理ができます。
TACHIFARM代表私自身、補助金の記録を別のエクセルで管理していた時期がありましたが、会計ソフトに一元化してからは時間が半分以下になりました。
農家が会計ソフトを選ぶときに押さえるべき3つの基準
農業簿記・農業勘定科目に対応しているか
農業対応していないソフトは、農家には向きません。
具体的には以下の点を確認してください。農業所得用の青色申告決算書(収支内訳書)が自動作成できるか、種苗費・肥料費・農薬費など農業特有の勘定科目がプリセットされているか、農機具の減価償却計算に対応しているかが主なチェックポイントです。
汎用の会計ソフト(特にマネーフォワードなど)は農業所得用決算書の自動作成に対応していない場合があります。購入前に必ず公式サイトで確認することをおすすめします。



私はマネーフォワードビジネスカードとの連携を鑑みて、マネーフォワードクラウドを使用してます。慣れれば問題ないというのが感想です。
クラウド型かインストール型か
農家向け会計ソフトには大きく2タイプあります。
銀行口座やJA口座のデータを自動取得でき、どこからでもスマホでアクセス可能です。税制改正への対応も自動アップデートで行われます。一方、月額料金が継続してかかる点とインターネット環境が必要な点はデメリットです。
一度購入すれば買い切りで使えるため、長期的にはコストを抑えやすいです。オフライン環境でも使えるのは農村地域では大きなメリットです。ただし、バージョンアップの都度費用がかかる場合があります。
価格・サポート体制・税理士連携
会計ソフトの費用は「安ければいい」わけではありません。個人農家なら月額1,000〜3,000円またはインストール型で15,000〜30,000円が相場です。
私の場合、決算は税理士と一緒に確認しながら進めています。クラウド型のソフトならURLを共有するだけでリアルタイムにデータを見てもらえます。
農家におすすめの会計ソフト【比較5選】
freee(フリー)
決算書作成に対応しており、農業勘定科目も選択できます。JA口座を含む多くの金融機関と自動連携でき、日々の入出金を自動で取り込めるのが大きな強みです。顧問税理士との情報共有がURL1本でできる点は、農業法人経営者にとって非常に便利です。
- 料金:月額980円〜(個人プラン)/月額2,980円〜(法人プラン)
- 対象:個人・法人
マネーフォワードクラウド
金融機関との連携数・自動仕訳の精度が高く、売上規模が大きい農業法人に向いています。個人農家の青色申告よりも、法人として税理士と連携しながら使うスタイルに向いています。
- 料金:年額10,800円〜(個人プラン)/年額35,760円〜(法人プラン)
- 対象:法人向きが特に○
ソリマチ 農業簿記13
農業専用ソフトとしての完成度は、他の追随を許しません。
JA全中推奨製品であり、農業勘定科目・農業所得用決算書・インボイス制度・電子帳簿保存法にも対応した農業専用ソフトです。インストール型で、インターネット環境がなくても使えます。農業一本で経営している個人農家に最もおすすめです。
- 料金:66,000円(買い切り)
- 対象:個人農家
やよいの青色申告オンライン
青色申告ソフトとしての実績・知名度は最高水準です。クラウド版(オンライン)とインストール版の両方が選べます。農業向けの勘定科目を別途カスタマイズする必要はありますが、使いやすさと税理士連携のしやすさは抜群です。
- 料金:年額11,800円〜(セルフプラン)
- 対象:個人事業主
らくらく青色申告 農業版
農業の帳簿を「とにかく簡単に」作りたい方に、おすすめです。
農業専用に設計された青色申告ソフトで、農業特有の収支項目が最初から設定されています。操作がシンプルで、パソコンが得意でない方でも取り組みやすい設計になっています。祖父母や高齢の家族が帳簿をつける場合にも向いています。
- 料金:8,800円〜(買い切り)
- 対象:個人農家
各ソフトの機能・価格・使いやすさ比較表
| ソフト名 | 対象 | 農業簿記対応 | 価格の目安 | タイプ |
|---|---|---|---|---|
| freee会計 | 個人・法人 | ○ | 月額2,380円〜 | クラウド |
| マネーフォワード | 個人・法人 | △ | 月額2,480円〜 | クラウド |
| ソリマチ農業簿記13 | 個人(専用) | ◎ | 66,000円(買切) | インストール |
| やよいの青色申告 | 個人 | △ | 月額1,100円〜 | 両方 |
| らくらく青色申告農業版 | 個人 | ○ | 8,800円(買切) | インストール |
会計ソフト導入後の農家の経理フロー【実例紹介】
日々の入力作業を最小化する運用方法
毎日入力しなくていい仕組みをつくることが、継続のカギです。
私が実践している運用フローを紹介します。まず、JA口座・銀行口座を会計ソフトに連携します。入出金データが自動で取り込まれるため、転記作業がゼロになります。
次に、農業資材の購入はできるだけカード払いにまとめます。カード明細も自動連携され、勘定科目の振り分けが一括でできます。
そして週1回30分の「経理タイム」を設けています。自動取込されたデータの勘定科目確認と、現金支払い分の入力のみ行うルールにしています。領収書はスマホで撮影してその場でソフトに添付しており、後で手元に領収書がなくて困ることがなくなりました。
確定申告・法人決算をスムーズに進めるコツ
1月に慌てないためには、12月の時点でほぼ完成している状態をつくること。
具体的なポイントを紹介します。まず12月末時点で年内の入力作業を完結させます。続いて年末に棚卸しを行い、米の在庫や農業資材の在庫を正確に会計ソフトへ計上します。交付決定が遅れがちな補助金の入金漏れも12月中に確認します。税理士へのデータ共有は1月上旬に行うことで、税理士側も余裕を持って対応してくれます。
まとめ
農家の経理は「農業特有の複雑さ」があり、一般向けの会計ソフトだけでは対応しきれないケースがあります。
農業対応の会計ソフトを選ぶことが、農家の経理効率化の第一歩です。
選び方をもう一度まとめます。農業法人ならfreee会計(農業決算書対応・税理士連携が強い)、個人農家で農業専用ソフトを使いたいならソリマチ農業簿記13(JA推奨・農業専用)、シンプルに使いたいなららくらく青色申告農業版、青色申告の実績と安心感重視ならやよいの青色申告が向いています。
会計ソフトを導入することで、私の経理作業は週8〜10時間から週30分程度に減りました。その分を農作業や経営の改善に使えるようになったことが、何より大きな変化です。
自分のスタイルに合ったソフトを選んで、農業経営をもっと楽にしてください。










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