「年末に残った米や肥料って、確定申告でどう扱えばいいの?」「棚卸って何を数えればいいの?」——確定申告の時期になると、毎年つまずきやすいのが期末棚卸です。
じつは棚卸を間違えると、その年の所得が大きくずれ、納税額にも影響します。
「買った肥料は全部その年の経費」と思い込んでいると、思わぬ申告ミスにつながることも。私は千葉で米農家を営みながら農業の税務情報を発信しており、本テーマも国税庁の資料を一次情報まで確認して整理しました。
この記事では、米農家が棚卸する対象、在庫の評価方法、実際のやり方の5ステップ、間違えたときの影響までをまとめます。読み終えれば、年末の棚卸が迷わずできるようになります。
| 📌 この記事でわかること ・そもそも期末棚卸はなぜ必要か ・米農家が棚卸する3つのもの ・在庫の評価方法(収穫価額・最終仕入原価法) ・棚卸のやり方5ステップ ・棚卸を間違えるとどうなるか |
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太智昭栄
Shoei Tachi
- 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
- 日商簿記2級・3級FP技能士取得
- 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信
そもそも期末棚卸はなぜ必要?
結論からいうと、「売れた分」だけを経費にするために、年末に残った在庫を確定させる作業が棚卸です。売上原価は次の式で計算します。
| 💡 売上原価の計算式売上原価 = 期首棚卸高 + 当期の仕入 − 期末棚卸高 |
つまり、期末に在庫が多いほど当期の費用は減り、所得(=税金)は増えます。在庫は売れて初めて経費になる、と覚えておきましょう。
米農家が棚卸する3つのもの
見落としやすいですが、棚卸の対象は収穫した米だけではありません。
| 区分 | 具体例 |
| ① 収穫済み・未販売の農産物 | 年末までに収穫し、まだ売っていない米など |
| ② 貯蔵品(資材) | 未使用の肥料・農薬・燃料・包装資材など |
| ③ 購入した種苗等 | 翌年用に買った種もみ・苗・農業資材など |
特に②の肥料・農薬などの貯蔵品は計上漏れが起きやすいポイント。買った年に全額経費ではなく、使い切れず残った分は在庫として計上します。
在庫の評価方法|米は「収穫価額」、資材は「最終仕入原価法」
棚卸高は「数量 × 単価」で計算します。この単価の決め方(評価方法)が、ものによって違います。
- 収穫した米など自家生産の農産物:収穫したときの価額(収穫価額)で評価します(収穫基準)。
- 購入した肥料・農薬・資材:評価方法の届出がなければ「最終仕入原価法」(その年最後に仕入れたときの単価)で評価します。
収穫した年に収入を立て、未販売分を在庫にするという考え方については次の記事で解説しています。
米農家の確定申告|収穫基準とは?売上・補助金の計上時期を見る
棚卸のやり方|5つのステップ
年末に残っている米・資材の数量を実際に数える。
米は収穫価額、購入資材は最終仕入原価などで単価を出す。
「数量 × 単価」で品目ごとの金額を出す。
品目・数量・単価・金額を一覧にまとめる。
青色申告の人は「青色申告決算書」、白色申告の人は「収支内訳書」の棚卸欄に転記する
| ⚠️ 注意 肥料・農薬・燃料などの貯蔵品の計上漏れに注意。「買ったら全部経費」ではなく、年末に残った分は在庫として計上します。棚卸表は手元に保存し、根拠を残しておきましょう。 |
棚卸を間違えるとどうなる?
棚卸高を実際より少なく計上すると、その年の経費が増えて所得が減りますが、税務調査で指摘されれば修正申告や追徴課税の対象になります。逆に多く計上しすぎると、払わなくてよい税金を払うことに。
棚卸でよくある4つの質問(Q&A)
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TACHIFARM代表私も日々の記帳はクラウド会計に任せ、米づくりの時間を確保してます。
まとめ:年末の在庫を正しく数えて、申告ミスを防ごう
期末棚卸は地味な作業ですが、所得と納税額を左右する大事な工程です。最後に要点を整理します。
| 🌾 押さえるべき3つのポイント ① 棚卸する3つ:未販売の米/肥料・農薬等の貯蔵品/購入した種苗等 ② 評価は米=収穫価額、資材=最終仕入原価法が基本 ③ 在庫は売れて初めて経費。貯蔵品の計上漏れに注意 |
年末にひと手間かけて在庫を数えておけば、確定申告は驚くほどスムーズになります。早めの準備で、安心して申告を終えましょう。
出典(一次情報)
- 所得税法第41条(農産物の収穫の場合の総収入金額算入=収穫基準)
- 国税庁「A1-18 所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/17.htm
- 国税庁「農業を営む者の取引に関する記載事項等の特例(法令解釈通達)」 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/060112/01.htm









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