【新規就農の5つの失敗】よくある原因と回避策を現役農家が解説

農場市場の温かい交流

「農業で自分のお店を持ちたい」
「農業で自由で自然と過ごす人生を送りたい」

そんな夢を持って農業を始めたのに、数年でやめてしまう人は意外と多くいます。でも、農業が続かなくなる理由の多くは、実は始める前に気をつけていれば防げたことです。つまり、先に「どんな失敗が多いのか」を知っておけば、同じ失敗をしなくてすむのです。この記事では、今も米作りをしている現役の農家として、新規就農でありがちな5つの失敗と、その防ぎ方をわかりやすくまとめます。

この記事でわかること
  • 新規就農でよくある5つの失敗
  • 失敗の裏にある共通の原因
  • 始める前にできる備え
  • 続けるための経営の習慣

就農でよくある失敗のひとつが、お金の管理の後回しです。最初に会計ソフトで記帳の仕組みを作っておけば、資金繰りも申告もつまずきにくくなります。
👉【無料で試せる】確定申告をラクにする「マネーフォワード クラウド確定申告」を見る

この記事を書いた人
たち しょうえい

太智昭栄

Shoei Tachi

  • 農業経営者(2022年〜千葉県北東部でお米を生産)
  • 日商簿記2級・3級FP技能士取得
  • 全国の農家の役に立つ補助金・融資情報を発信

目次

新規就農者の5つの失敗

明るい窓辺で悩む女性

農業は、始めること自体は意外とできますが、むずかしいのは続けていくことです。天候、価格、資金、人間関係など、自分の力ではどうにもできない要素が多く、思い描いた理想と現実のギャップに、心が折れてしまう人も少なくありません。ただ、農業をやめてしまう人には共通点の多くが準備不足見通しの甘さです。

ここを先に押さえておくだけで、失敗するリスクは大きく減らせます。

【まず全体像】5つの失敗と回避策の早見表

失敗ひとことで言うと回避策のポイント
資金計画が甘い収入が立つ前に貯金が尽きてしまう1〜2年分の生活費+運転資金を確保する
補助金が前提もらえないと計画が一気に崩れる補助金なしでも回る計画をベースにする
農地・販路がない借りられない・作っても売れない就農前から地域とつながっておく
技術不足で拡大収量・品質が伴わずコストだけ増える小さく始めて技術を固めてから広げる
数字を把握しない気づいたら赤字になっている1年目から会計ソフトで記帳する
TACHIFARM代表

ここから、ひとつずつくわしく見ていきましょう。

失敗1|資金計画が甘い

いちばん多いのが、お金の見通しの甘さです。就農1年目からいきなり農業で安定した収入を得るのは難しく、収入が立つまでの「生活費」と「運転資金」が、思っていた以上に必要になります。

農機・農地・資材・施設……と、最初にかかるお金(初期投資)は数百万円単位になることもあります。そこに毎日の生活費が重なって、「気づいたら貯金が尽きていた」という事態に陥りがちです。

▼ 回避策
就農前に、最低でも1〜2年分の「生活費+運転資金」を確保しておく。「就農準備資金」や「経営開始資金」などの公的な支援もあわせて活用する。お金に余裕があるほど心にもゆとりが生まれ、冷静な判断ができる。お金に追われると、目先の現金ほしさに安値で売ってしまうなど、悪い判断をしがち。

失敗2|補助金を前提に計画を立てる

補助金は心強い味方ですが、もらえる前提で経営計画を立てるのは危険です。補助金には審査があり、必ず通るとは限りません。申請のタイミングや条件も複雑です。

「補助金が出るから機械を買う」という計画は、不採択になった瞬間に崩れてしまいます。

▼ 回避策
補助金は「もらえたらラッキー」くらいに考え、もらえなくても回る計画を土台にする。補助金は申請から交付まで時間がかかり、入金は後払いが基本。立て替えるお金も必要になる点を見落とさない。

補助金の正しい使い方は新規就農で補助金は使える!正しい申請方法でくわしく解説しています。

失敗3|農地や販路を確保できない

「農業をやりたい」という気持ちだけで飛び込んで肝心の農地や売り先がないまま苦労するケースもあります。農地は簡単には借りられませんし、作ったものを売る先がなければ収入になりません。

▼ 回避策
就農前から地域とのつながりを作り、農地と販路の見通しを立てておく。研修や地域の集まりに顔を出し、信頼を積み重ねることが農地確保の近道。販路はJA出荷だけに頼らず、直売やネット販売など複数の選択肢を少しずつ育てておく。

販路が一本だけだと、その取引が止まったときに収入が一気に途絶えます。最初は小さくても、複数の売り先を持っておくことが、価格交渉力とリスク分散の両方につながります。

失敗4|技術不足のまま規模を広げる

意欲が高い人ほど陥りやすいのが、技術が伴わないうちに規模を広げてしまう失敗です。面積を増やしても、栽培技術が追いつかなければ収量も品質も上がらず、コストばかりが増えてしまいます。

▼ 回避策
大切なのは「小さく始めて、技術を固めてから広げる」こと。最初の数年は無理に拡大せず、確実に作れる範囲で経験を積む。先を進む農家から学ぶ姿勢も、技術習得の近道になる。

規模を広げるのは、今の面積で安定して利益を出せるようになってからでも遅くありません。借りた農地を荒らしてしまえば、地域の信頼も失います。背伸びをせず、一枚一枚を確実に育てることが、結果的にいちばん早い成長につながります。

失敗5|経営の数字を把握していない

意外と見落とされがちなのが、お金の流れを把握していないことです。「忙しくて帳簿は後回し」のまま1年が過ぎ、気づいたら赤字――これは本当によく聞く話です。どの作物が、どの売り先が利益を生んでいるのか。数字が見えていないと、改善のしようがありません。

▼ 回避策
就農1年目から、会計ソフトで記帳することを習慣にする。会計ソフトが計算を代行してくれるので、簿記の知識がなくても続けられる。数字を「見える化」することが、続けられる経営の土台になる。

【保存版】就農前の7つのチェックリスト

5つの失敗を裏返すと、就農前にやっておくべきことが見えてきます。次の7つの項目を、ひとつずつ確認しておきましょう。

  • 1〜2年分の生活費と運転資金を用意できているか
  • 補助金がなくても回る経営計画になっているか
  • 農地を確保できる見通しが立っているか
  • 作ったものを売る先(販路)を考えているか
  • 研修などで栽培技術を身につけているか
  • 地域の人とのつながりを作り始めているか
  • 1年目から会計ソフトで記帳する準備をしているか

すべてを完璧にそろえる必要はありません。ですが、空欄が多いほど就農後のリスクは高くなります。ひとつでも多く埋めてから踏み出すことが、続けられる就農につながります。

失敗の裏にある共通点

5つの失敗を振り返り、「なんとかなる」という楽観で突き進んでしまうことは避けましょう。農業への情熱は何より大切ですが、情熱だけでは経営は続きません。情熱を支えるのは、地に足のついた準備と、数字に基づく冷静な判断です。

私自身も農業経営を続けるなかで、勢いだけで動いて痛い目を見たことが何度もあります。だからこそ、これから就農する方には、先人のつまずきを「予習」してほしいのです。

経営の安定には、公的な資金支援の活用も欠かせません。就農直後の生活費を支える制度は、経営開始資金の要件・申請手順で解説しています。

続けるための一歩|まずは記帳から始める

農場の夕暮れ時の作業スペース

失敗を避ける備えのなかで、誰でも今日から始められるのが記帳です。お金の流れが見えれば、資金計画の甘さにも、赤字の兆候にも、早く気づけます。

簿記に不安があるなら、マネーフォワード クラウド確定申告がおすすめ。確定申告書まで作成でき、最大65万円の青色申告特別控除も活用しやすくなります。経営の数字が見えれば、不安は対策できる課題に変わります。

就農の初期費用の見積もりは、新規就農の初期費用|農機具コストの徹底解説も役立ちます。

新規就農者のよくある3つの質問

未経験から農業で食べていけますか?

可能ですが、いきなり生活費をまるごとまかなうのは難しいのが現実です。研修期間や、就農当初は別の収入源(兼業)を持つなど、収入が立つまでを乗り切る工夫をしている人が多いです。

どれくらいの自己資金が必要ですか?

作物や規模によりますが、初期投資に加えて、収入が安定するまでの生活費・運転資金が必要です。最低でも数百万円規模を見ておくと安心という声が多いです。公的な無利子融資や給付も組み合わせましょう。

失敗しないために、最初に何をすべき?

まずは「就農相談窓口」で現実的な計画を一緒に作ること、そして研修で技術と地域のつながりを得ることです。準備に時間をかけた人ほど、就農後の挫折が少ない傾向があります。

まとめ:失敗を「予習」して、続けられる就農を

新規就農の失敗を避けるために押さえるべきは、次の3点です。

  1. 資金は1〜2年分の余裕を持ち、補助金を前提にしない
  2. 農地・販路・技術は、小さく始めて着実に固める
  3. 経営の数字を1年目から記帳で見える化する

この3つを押さえるだけで、つまずきの多くは防げます。失敗は事前の準備で避けられます。先人のつまずきを学び、地に足のついた一歩を踏み出してください。農業は、続けた人にこそ実りが返ってくる仕事です。完璧なスタートを切れる人はいません。私自身も失敗を重ねながら、今も学び続けています。

TACHIFARM代表

焦らず着実に積み重ねていきましょう。

▼関連記事
65万円の青色申告特別控除の適用要件(国税庁)
就農準備資金・経営開始資金(農林水産省)
やよいの青色申告 オンライン サポート情報(弥生公式)
青色申告決算書(農業所得用)の入力項目(弥生会計サポート)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

農業|ライター|千葉県山武郡横芝光町でコシヒカリを始めとしたおいしいお米を生産|Word、ドキュメント、WordPressでの記事の執筆|日商簿記2級|FP3級|食品衛生責任者|英検2級

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次